王様げーむ (2/4)
「「「「王様だ〜れだ!」」」」
皆で声を揃えて言った掛け声。このゲームの、お決まりの台詞。
それに応えたのは……。
「あれ?」
誰も名乗りを上げない。
がやがやと、自分じゃない、と話す面々。
「私です」
少し、間が空いて静かに手を上げたのは美哉だった。
「お、大家殿…!」
「美哉たんいつの間に参加してたですか?」
「結も気づきませんでした…さすが大家様です!」
皆気づいていなかったようで驚きの声を上げ、結に至っては本当に感心しているようでパチパチと手を叩いている。
「それでは、3番を引いた方以外は、お外でお待ちくださいね」
「お、俺だ……」
やってしまった、という顔をして呟く皆人。
そんな皆人を見てか月海が言う。
「大家殿!ミナトの正妻である吾が同席……」
「結も妻です!」
「くーもつまだも!」
「美哉たん何するですか?松は気になるですよ」
うずうずと指を動かしながら言う。
「全く、相変わらずだね。君たちは……」
と、遠くから傍観していた焔は苦笑いしながらため息をつく。
「用があるのは佐橋さんですから、皆さんはお外に出てくださいね。……ね?」
言い争っている結たちに対し、笑顔の圧力をかけ、追い出した。
そして、くるりと皆人の方を向き、話し始める。
「実は佐橋さんに折り入ってお話がありまして――……」
皆人はあたふたとしながら話を聞いていて。
一方。閉め出された面々は閉じられた障子に耳を当て、聞き耳を立てている。
が、よく聞こえないようだ。
「なんじゃ結、押すでない!」
「結も気になりますー」
えいっと押し返す。
「くーも!」
話の内容よりも輪に混ざりたいように見える草野。
「皆さん?覗き見はだめですよ」
騒いでいるのを感じとったのか障子を開け、釘を刺す。
その美哉の背後には般若が浮かんでいたとかいないとか。
(2010.07.03-2010.12.31 拍手お礼文)
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