王様げーむ (1/4)
「「「「王様だ〜れだ!」」」」
皆で声を揃えて言った掛け声。このゲームの、お決まりの台詞。
それに応えたのは……。
「吾じゃ!」
とても得意げに、ほれ見ろと言わんばかりに王冠マークの書かれた割り箸を振っている。
「ミナト!いい加減吾を抱く気には…」
「わーーー!!」
何を言うのか解ってしまった皆人は慌てて月海の口を押さえる。
それに対し月海はぽっと頬を赤らめつつも文句を言う。
「誤魔化すでない!吾はっ……」
「月海、これ王様ゲームだから!俺指したら番号振ってる意味がないよ」
思わずツッコミをいれる皆人だが月海は自分を曲げない。
「吾が王だからよいのじゃっ!」
と、主張する月海。
「つーちゃん、だっこしてほしいの?」
不思議そうに尋ねる草野。
「月海さんは王様って言うより、女王様ですねっ」
にっこり笑ってそう言う結の後ろには黒いくまが見える。
かな〜りご立腹なご様子。
「月海……ルールは守りなよ」
ぽつりと言う焔。
「そもそも何故汝まで参加しておるのじゃ!」
口を挟んだ焔にかちんと来たようで。
怒りの矛先を向ける。
「巻き込んだのは君たちだろ」
やれやれと言わんばかりの調子だ。
「汝との決着、まだじゃったな……」
ふるふると拳を震わせ、言葉を続ける。
「表に出るがよい!今日こそ決着をつけてやろうぞ」
勢いよく焔に向けて指を突き付け、宣言する。
「はいはい。それなら早く外に出ようね」
立ち上がり、出口はあっち、と誘導する。それに口を尖らせながらも従う月海。
「あ、佐橋。僕たちのことは気にしないで早く次進めなよ」
部屋を出るときに振り向きざま、ちらりと皆人のほうを見て言う。
「はい!すみません!」
月海の意識が他に逸れホッとする皆人。
「はいっ、皆人さん引いてください!次こそ結が王様になります!」
さっと割り箸の束を差し出す結。
(次は俺、王様引けますように……!)
今の一連のやり取りでどっと疲れた皆人は、そう強く願ったのだった。
(2010.07.03-2010.12.31 拍手お礼文)
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