まったりな昼下がり




今日は大家の美哉が旦那の月命日で外出中。

それを知った結が、


「今日のお昼は結が作ります!」


と意気込んで台所に行った矢先のことだった。


「あ!」


結の声と同時に鍋やおたまがガラガラと落ちる音がする。
ぼーっとテレビを見ていた皆人はそっちに顔を向け。

隣にいる草野は、はてなマークを浮かべている。


「結……ちゃん?」


どうかした?と尋ねる皆人。


「いえ、なんでもないです」


顔だけ皆人に向け笑顔で言う結。

しかし、手元からぽたっ、ぽたっと滴れている赤いものが目に入る。


「あの、結ちゃん手……!」


「あ、大丈夫です。痛くないですよ?」


にっこり笑って台所へと戻ろうとする結。
やせ我慢しているようには見えないが……。

「痛くなくても怪我は怪我だから!手当てするから!」


必死の形相で言う皆人。

確かあの辺りに救急箱が……と隣の部屋から探し出すと結の前に座った。

幸い浅い傷で、出血が多いだけみたいだった。

(戦闘ばかり経験してきたから痛みに強いのかな…?)

戦って戦って、基本的に戦っている姿ばかり見てきた為そんな考えが浮かぶ。


「手当てしてくれて、嬉しいです」


ありがとうございますと満面の笑みで言う。

と。シューシューとに加えゴポゴポと何かがこぼれる音が聞こえてきた。


「何の音……?」


「あっ!お鍋の火止めてませんでした」


皆人の問いかけにそう答えた結。

その言葉に台所の方を見てみると鍋からは煮込汁が噴き出している。

慌てて火を止めるが、煮汁は半分以上なくなり具材もいくらかこぼれてしまっていた。


「皆人さん皆人さん」


惨状を見て肩を落とす皆人に結は更に言葉を紡ぐ。


「カレールー、忘れちゃいました。お買い物行って来ますね」


てへっと笑いながらくるりと踵を返す。
その足は玄関先に向かっている。

そんな結を慌てて止める皆人。


「怪我してるんだから俺が行くよ」


「これくらい大丈夫です!皆人さんは休んでいて下さい」


「でも……!」


どちらも譲らずなかなか話がつかない。
結局二人、手をつないでいくことに。


その後、また一苦労あったようだが無事にカレーは完成したそうだ。



――まったりな昼下がり

(あれ、これ"びーふしちゅー"って書いてありますね)

(結ちゃん、こっちがカレールーだよ……)









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素敵な企画に釣り合う作品となっていることを祈って…。
セキレイの二次創作がますます盛り上がりますように!
企画の主催者様、そしてここまで読んで下さった皆様、ありがとうございました。

- SOS企画提出作品 -
(2010.08.22)








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