淡碧







貴方と出会って私の世界は変わったわ。



今まで近くにいたのは小さな黒猫のおともだちとお人形さんたちだけだった。
いつも一人だった私に、彼は新しい世界を教えてくれた。


さながらトランプのような黒と赤の二色しかない世界を虹色に塗り替えてくれた。


なにより、会う度に知らないことを教えてくれる、わくわくをくれる、たくさんの幸せをくれる貴方と一緒に過ごせる時間が愛おしかった。



それなのに……。
今の私は貴方と出会う前と同じ。ひとりぼっち。


どうして貴方は来なくなってしまったの?
つらい、寂しい、戸惑い、色んな想いが混ざり合って壊れてしまいそう。


どうして?


「早く迎えに来て?」



そして私を、色をなくしてしまった世界から連れ出して。



この声は貴方に届いているの?

100の年が経った今も私の元を訪れてはくれないけれども私は諦めない。
きっと聞こえていないだけよね。貴方が私のことを置いて行くはずないもの。



そう、これが私のたったひとつの願い。




叶えるためにならなんでもする。たとえ、それで誰かが不幸になったとしても私には関係ないわ。
彼が帰ってきてくれればそれでいいの。





そうすればまた、貴方と一緒に笑いあえる時を手に入れられるもの。













(2010.12.05)







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