現在進行形で全力疾走中
「道、教えて頂けて良かったですね」
道に迷って……否、近道をしようとして塀を乗り越えた二人であったがそこからはまったくのノープランであった。
そこで少年ー皆人が篝を踏みつけ、道を教えてもらい……でなんとか間に合いそうだ。
だが、その言葉を聞いて頭を抱える皆人。
「あー、あの人本当に大丈夫だったかなぁ……」
「きっと大丈夫ですよ。相手の方も気にされてないようでしたし」
答えた少女の名前は結。
先の事柄からも察せれる通り彼女は抜群に運動神経が良い。
スポーツ全般が得意な典型的な体育会系少女だ。
いつも前向きに、よい方へと考える、少しポジティブすぎる所がある。
「だといいけど……」
そう言いつつも、怪我とかしてないよな……などとブツブツと呟いている。
自分の所為で人に迷惑をかけてしまったことがかなり気になるようだ。
体育会系な結とは反対に皆人は根っからのインドア派。
息も絶え絶え、追い付くのに精一杯。
対照的に息一つ切らしていない結。
「でも、元はと言えば結のせいですし……」
しゅんと落ち込む結。
塀を飛び越えた事を言っている。
「一緒に謝りに行きましょう、ね?皆人さん」
「う、うん、ありがとう結ちゃ……」
「あ!あと5分で入学式始まってしまいます!皆人さん急ぎましょう」
礼を述べようとしていた皆人の言葉は時計に目を向けていた結に遮られた。
切り替えの早さに戸惑いつつも頷く。
(1日目にして目つけられる、なんてことになってないといいけど…。)
目的地である体育館に向かって、走るペースを上げながらも二人の会話は続く……。
現在進行形で全力疾走中
(も、もう少しペース落とせない?結ちゃん…)
(だめですよ。遅れちゃいますから)
(2009.08.11)
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