03

とある、大雨の日。大荒れの天気で。
雨の日は雨音で嫌いな音が遮断されるから。
耳を塞がなくても、聞こえない。
だから好き。
「あっ、津山先輩!」
「夏代か………………」
「はい、夏代です!こんにちは!」
「教科書……授業受けるの?」
「実は、別室で受けるならって!
許可がおりたんです!」
すごく嬉しそうに話す夏代。
そんな夏代をみながら、俺は、
クラスであったことを思い出した。
でも、とりあえず返事しないと………。
「そっか。じゃあ、頑張れよ?」
「はいっ、ありがとうございます!」
そう言ってからぱたぱた走って
教室棟を目指して行く夏代を横目にみてから
俺は授業開始のチャイムが鳴るのを
待ってから人の寄らない技術棟に向かう。

それから、どれくらい経ったかな。

何も覚えてない。

この時間、自分が何をしていたのか。

……………あぁ、わかった……………


「津山先輩、どうしたんですか?」


か細く震える、夏代の声が聞こえた気がした。

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