3.5

聞こえた気がしただけで、
実際は聞こえなかった。
少しすれば落ち着いたので個室からでる。
まだ授業終了までは時間があるし、
保健室にでもよるか、そう思った。

少し遠い保健室までの通りに
いつもお世話になってた相談室や、
技術関連の部屋がある。
あんまり来ないから久しぶりに見た。
そんな小さなことで心が和らいだ。

「失礼しまーす」
「あら、津山くん。久しぶり」
「お久しぶりです。
少しだけお邪魔していいですか?」
「もちろんよ。顔色悪いし、平気?」
「平気です。少し、思い出しましたけど」
「そっか。……………………あ」
「?どうしたんです?」
「私ね、心理カウンセラーの資格とったの」
「へー」
「だから保健室でも話は聞けるからね」

にっと笑った先生。
こうやって周りのことを考えてくれるから
生徒に大人気なんだと思う。

「わざわざ、ありがとうございます」
「津山くんだけのためじゃないから、ね?」

気負うな、そう言うように言われる。

「夏代ちゃんとか他にも、
津山くんみたいに沢山悩んでる子いるし」
「なるほど…………」
「そんな子達が保健室で話せたら
変な目で見られないしいいでしょ?」
「ですね。さすが先生」
「わっ、津山くんに褒められた」

この先生は、よく笑う。それに、若い。
だから皆気さくに話せるんだと思う。
この人が保健室の先生でよかったな、
って改めて思った三限目の終わり。

TOP | Next→
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -