小説 | ナノ
手のかかる後輩1ー2



言ってしまった

だけど、冗談だと言ってしまった

先輩は信じただろうか?

どっちでもいいや…どうせ俺のことなんて…


ザーザーと雨は降り続いている。顔を上げれば雨が顔にあたり気持ちいい。目から流れていく水は、もうとっくに涙なのか雨なのかわからなくなっていた。

先輩…

俺、何してんだろ…

明日から先輩は普通に接してくれるだろうか、

明日から俺は普通に接することはできるだろうか、

こんなことなら言うんじゃなかった

後から後悔しても時は既に遅し。

先輩、怒ってるかな…

こんなに好きになるだなんて思っていなかった。


はぁああ…


「俺のバカ…」

「まったくだ」


は?

声のする方を見れば


「先、輩?」

「お前、本当にバカだな」

「なっ…!」


返す言葉がなくて黙りこむ俺。


「俺の話ぐらい聞けよ」


話って?説教?


「俺も、お前が好きだ」

「え、」

「だから!お前が好きだって!」


再度言われ顔が熱くなっていく。

いやいやいや、だって先輩は神童先輩が好きなんじゃ…


「お前、何か勘違いしてるだろ?」


しゃがみ込んだ俺と目線を合わせるように、先輩もしゃがみ込む


「先、輩、俺…「とりあえず帰ろう、狩屋。このままだと風邪引く」


スッと立ち上がると手を差し出されたので素直に手を掴む

そして歩き出した


―――


「…ところで、どこに帰るんですか?先輩の「お前ん家」…は?」

「こんな状態のお前を1人で帰らせるわけないだろ。」


ふわっと笑う先輩は、とても綺麗でとてもカッコよかった。

…もう本当、マジでなんなのこの人。赤くなる顔を隠すように片手で覆う。

え、てか俺の家…


「あああああああああ!!」

「うるさい狩屋」

「ダメ!今日はダメ!」

「なんでだよ」

「とにかくダメなものは、ダメ!!」

「我が儘言うなら俺、明日から口聞かない」

「それはもっとダメエエエエ」

「じゃあ行くぞ」


あああああああああ、よりによって今日はアイツらが居るんだった!!マジどうしよう!!



2012年6月29日


[ ]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -