小説 | ナノ
手のかかる後輩1ー1


突然、呼び出された。まぁ今日は部活休みだし暇だったからいいんだけど。

雨、凄いな、

ザーザーザーと地面を叩きつけ雨が降っている。こんな日に呼び出すなんて、何かあったのだろうか?

待ち合わせの場所に行けば、既に来ていた狩屋。


「待ったか?」

「いえ、今来たところです」

「そうか。とりあえず移動するか、雨酷いし」

「先輩、」

「なんだ?」

「好きなんです」

「は?」

「あなたが」

「狩、屋?」


真剣な眼をして俺を見てくる狩屋。


「ずっと前から、出会った時から」

「なんだよいきなり」

「ずっと、好きなんだ!!だ、から…!」


ボトッと傘が狩屋の手から離れ勢いよく両肩を捕まれる。その拍子に俺の傘も手から離れる。


「俺と一緒に居てください!」


はじめは冗談と思った。こんな雨の日に何言ってるんだ、と。泣きそうな顔で、それでも真剣に必死に言う狩屋を見て思わず目が見開く。…本気なんだ。


「…俺も「なんてな!嘘っすよ嘘。やだなー、こんなのに引っ掛かっちゃって。先輩、可愛い〜」…狩屋」

俺も…と言おうとすれば狩屋によって遮られれる。無理やり笑いながら言う狩屋はとても痛々しくて…見ていられない、


「つい、先輩をからかいたくなって呼び出しちゃいました。じゃあまた。」

「お、おい!」


傘も拾わずに走りだす狩屋。


「なにが冗談だ」


あんな顔で。手だって震えていた。


「ったく、」


人の話ぐらい聞けよ


「本当、手のかかる後輩だな、」


なんでいきなりこんな事を言い出したのか分からないが気持ちは俺も同じ。伝えようとしたが狩屋によって遮られた言葉を言いに狩屋が走っていった道をゆっくりと歩き出す。



今ごろ泣きじゃくっている彼に会いに。



――――――

続くかもしれない


2012年6月29日

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