練習試合は誠凜が勝った。勝った、といってもほとんど火神くん一人でやっていたも同然だけど。練習試合が終わり、リコと木吉くんが今日の試合の話しをしにマジバに行くらしく、私も行くことに。木吉くんがシェイク奢ってくれるということで!

『ねぇ、本当に私もいていいの?』
「だから良いって言ってるじゃない」

いくら奢ってくれるから着いてきたとはいえ、試合の話しをするのに私は邪魔なんじゃないか、と思う。

「昨日、シェイク奢るって約束したしな、遠慮するなよ」
『……ありがとう』
「で、…どーゆーつもりよ」

リコが眉間にシワを寄せ問い詰めるように聞く。

「何を企んでるのかしら?」

企むって…

「なんでみんなそー人聞き悪いコト言うかなーっ。1対1はお互いの実力を知りたかっただけだよ。マジで。まあ試合の方は…あるっちゃある…かな。…黒子君に知ってほしくてな。今のカレのバスケの限界を…さ」

ああ、なるほど…そういう意味があったのか。

『つまり、彼のバスケはよく言えば「周りを生かす」スタイル。他の4人次第で強くも弱くもなる』
「そう。けど悪く言えばそれは「人任せ」とも言える。もし今日の試合、想像より結果が悪かったとしたらそりゃまんま一年と二年の実力差だろ。今のスタイルでは周りが強くなるのを期待するだけしかできない。彼のポテンシャルでは自身の大きな変化は望めないからだ。この壁を破るために必要なのは…今のスタイルを捨てることだ。…捨てるといってもベクトルはあくまで変えずに…」

チラッと木吉くんは外を見ると安心したように微笑む

「…いやもう大丈夫だろ」

それに気づいたリコも外を見ると安心したように微笑む。私も外を見てみると、そこには走っている黒子くんがいた。その顔には迷いはなく、自然と私も笑顔になる。

『答えを見つけたんだね』

良かったね…黒子くん。



◆もう大丈夫
(いいなーホント…男子って)
(私も男に生まれたかったなー)
(名前が男だったら、一緒にプレイできるな!)
(男装すれば、なんとかなるかな)
(いや、無理でしょ)


20140529編集

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