期末テストを無事終え、誠凜バスケ部は創始者である二年生、木吉くんも復帰し、敗戦のショックから立ち直りつつあった。

そして夏休み。

いよいよウインターカップに向けて本格的に動き始めようとしていた。


今年の夏休みは、海と山で合宿を2回することになったが、キャプテンから重大な発表をされる。部活後、全員集合!という掛け声で皆キャプテンの元へ集まった。リコは先生に呼ばれているみたいで先に上がっている。

リコいないのに…なんだろ??そう思いながら私もキャプテンの元へ駆け寄った。


「オレ達は今…重大な危機に直面している。…今年合宿を2回やるために宿は格安の民宿にした。よって食事は自炊だ…が問題はここからだ…………」
『あ!』


日向くんが何か言おうとした瞬間、私は声をあげると隣の伊月くんが話しかけてきた。

「どうしたんだ?」
『回覧板回すの忘れてた!!ちょ、私先に帰るね!ごめん、お疲れ様!!』

登校前に隣に回すはずだったのをすっかり忘れていた。確か今日までに回さないとダメだったはず。

慌てて私は家へと帰った。重要な話を聞かずに。


ーーーーーーー


「慌ててどうしたんだ?」
「お前今の話聞いてなかったのか」
「んー?」
「もういいわ、とりあえず自炊のことだが………カントクが飯を作る」
「…え?ダメ…なんですか?」
「当たり前だ!レモンはちみつ漬けとか見たろ!!つまりその…察しろ!」
「料理の域はもはや完全に越えてたな」

(((それ食いもんじゃねぇってこと!?)))

「じゃあ自分らが作ればいいんじゃ…?」
「そうしたいのはヤマヤマなんだが…練習メニューが殺人的すぎて夜は誰もまともに動けん!」

(((死ぬかもしんない……!!)))

「あ、でも名字先輩は料理作れないんですか!?」
「確かに!」
「は!そうだ!名字がいるならまだ希望がある!」
「チョコ作れるみたいだし料理も作れるんじゃないかな」
「チョコ?!」
「木吉先輩、もらったんですか!?」
「ああ、バレンタインに」
「まじですか!」

一年ズが羨ましいそうに木吉を見る。

「でも皆もらってたみたいだぞ?」
「もらった!もらった!凄い美味しかったー!まじ女の子って感じだよね!」
「人数多いからチョコっとだけだったけど美味しかったよ…キタコレ!」
「伊月だまれ。とりあえずまだ希望があるがもしかしたらカントクが作るかもしらん。明日の放課後、家庭科室に集合な!以上!解散!」



◆夏休み
(名前の手料理か…)
(食べてみたいな)


20140529編集

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