「「「お疲れっした!」」」

最後の挨拶をし、各自それぞれ自主練に入る。私は一通り仕事を終え(と言ってもドリンクやタオルなどを用意したり片付けたりとか)、リコの隣に座り込む。

「やっぱり、経験者だとテキパキ動いてくれるからいいわあー」
『ほとんど雑用ですけどね』
「それでも充分よ。それに女の子が1人居てくれるだけで皆やる気出すのよねー」
『リコも女じゃん』
「んーもう!鈍いわね!」
『えー?』

なにがー?って言おうとしたけど面倒くさいのでやめた。

「名前、」

リコは私の名前を呼ぶと、目線を合わせるためか同じように座りこむ。

『なに?』
「鉄平をよろしくね」
『?』

なにが、よろしく、なのかよく分からず首を傾げる。そんな私を、くすっと笑うリコ。

あれ?教えてくれない感じですか?

「まあ、とりあえず!」

よいしょっと言って立ち上がるリコ

「マネージャーよろしくね」
『…?うん』

まだハテナマークが出ている私に、にこっと笑うリコ。そして皆を集めた。

「はーい!じゃあそろそろ体育館閉めなきゃだから終わるわよー!と、その前にみんな集合!」

ざわざわと皆が集まる。


「明日から3日連続、練習試合を組んだわ。だから今回は試合に勝つ!だけじゃなくて考えてプレイすることを意識してね!」
「「「「オウ!!!」」」」

皆の元気な挨拶で解散となる。そんな中、木吉くんがリコの元へ近づいてきた。

「なぁリコ、1つ頼みがあんだけど」
「…え?」

ごにごにょっと、周りには聞こえないように言う木吉くん。が、リコの隣にいた私は、聞こうと思って聞いたわけじゃないけど、自然と聞こえたので話に入る。

『まぁ、でもそれはそれで面白そう』
「そうかもだけど、さすがにね」
『いいじゃない、私も見たい』

だってまだメンバーの事よく知らないし…。

はぁ、とため息をつきながらリコは言う

「名前が言うなら仕方ないわね」
「おお!ありがとな名前」

『今度、マジバのシェイク奢ってね』と、冗談で言ってみたが、「ああ、いいぜ!」と真面目に返されたので、彼には冗談通じない事を思い出す

…まぁいいか

「じゃあ、名前、着替えてくるから待っててくれな」
『え?なんで?』
「え?一緒に帰るからに決まってるだろ?」
『うん?』

帰る約束したっけ?と今日の事を思い出してみるが帰る約束はした覚えがない。

「女の子がこんな時間に1人だと危ないだろ?」
『ああ』

なるほど。そういえば、昨日も言ってたね


でも別に大丈夫なんだけど

「あら、私も女の子だけど?」
「リコは大丈夫だ!」
「それどう意味よ」

プンプンと怒るリコ。あ、可愛い。「しゃーねぇな、カントクは俺が送るよ」と話を聞いていたらしい、日向くんが頭をかきながら近づいてくる。

「別にいいわよ」
「お前に何かあったら、お前の父親に命狙われんだよ」
「ふーん。」
「んじゃ着替えてくるわ」
「わかった」
「あ、日向!俺も!じゃあ、また後でな!」

タタタッと小走りで日向くんの元へ駆け寄る木吉くん。二人が体育館からいなくなり、『別に大丈夫なのにねー』とリコに話しかける。

「いやいや、私は大丈夫だけど、名前は危ないわよ」
『そんなことないよ?』
「あんたみたいな可愛い子が夜歩いてたら皆襲いたくなるでしょ!」

…えぇ

『リコの方が可愛いいよ』と言えば、ちょっと照れたのか、少し顔が赤いリコ。ほら、やっぱりリコの方が可愛い

「とにかく!ちゃんと鉄平に送ってもらうのよ?」
『はーい』

体育館の鍵を閉め、リコが職員室に鍵を返しに行ったので下駄箱の所で待つことにした。ここだったら、木吉くんも2人も来るよね?

『早く来ないかなー』

少し外に出て辺りを見渡せば、まだ少し明るいが暗くなってきていた。確かに女の子1人だと危ないのかな…と改めて思う。

夏って変な人が多いって聞くし…


◆素直に君に甘えようかな
(1人より2人の方が楽しいしね)
(名前ー!)
(木吉くん、)
(ごめん、遅くなって)
(別にいいよ。あれ?日向くんは?)
(リコと話してる)
(ああ、だからリコ、なかなか戻って来なかったのか)
(じゃあ、行こうぜ)
(うん)


―――――――
実はリコは、木吉くんとヒロインちゃんの事を応援してるんです。でもやっぱりたまにね、友達を取られるのは嫌な時もあるんですよ。だから前回木吉くんを睨んでました(笑)早くお互い気持ちに気づいてほしいですー。でも…まだ先になりそう…


20140529 編集

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