静まりかえった体育館。バッシュの音だけが鳴り響き、試合はあっという間に終了した。そして、1年が声をもらす。
「すっげぇ…」
「マジかよ」
「火神の圧勝じゃん」
火神が圧勝した。それは当然の事だろう。火神は男で名前は女。名前は止めに入るも、かなりの身長差や力の差があり、立ち向かうのには無理がある。が、気に入らないのか火神が文句を言う。
「ふざけんな!なんで本気でこねーんだ!…です」
「は?」
1年生らは驚いている。どうやら黒子や2年生達は本気を出していない事に気づいていたみたいだ。
『…』
そう、私は手を抜いていた。ただやりたくないから、とかそんな理由じゃない。手を抜けざる終えなかった。というか本気を出せる状態じゃなかった。
『なんで本気でやらないかって?』
「ああ」
『それは』
ゆっくりと口を開く名前。
「そ、それは?」
ゴクリと唾を飲む皆。
『…コンタクトも眼鏡も忘れてきたからだよダアホ!!!!!』
その発言にタイミングよく、ズルッと全員がコケる。
「なっ!」
「ちょっと、忘れたなら先に言ってよ名前!」
『言う暇を与えてくれなかったのはどこの誰ですか!』
「…さぁ〜誰かしら〜」
『リコ…あんたねぇ』
「とりあえず、どうするカントク?」
日向くんがチラッと時計を見、リコに話しかける。
「うーん」
『もう嫌だ動きたくない』
「名前、お疲れ様」
いつの間にか隣にいた木吉くんが頭を撫でてくる。火神くんは私と本気で戦えなかったので若干、拗ねている。少し可愛いと思ったのは口に出さないでおこう。
「まぁ少しは名前のバスケ姿も見れたし、良しとしますか!火神くん!本気で相手してほしいなら、今度時間あるときにでもしてもらいなさい」
「…了解っす」
え、マジか
「まぁ、とりあえず今日からマネージャーの名字名前よ!皆仲良くしてあげてね!」
「「「はーい」」」
大きな声で返事する皆。うん元気がいいね
「ただーし!!」
ビシッと決めポーズ?をするリコ。
「名前に手を出した奴は容赦しないわよ」
リコからはどす黒いオーラが流れていた。こ、怖い…
皆もリコが怖いのかビクビクと体を震わせている。
まぁ、私なんかにそんな手を出す人なんて「え…」
…皆が震えている中、1人だけ皆とは違う反応をしていました。
「なによ鉄平」
「いや、別に」
「木吉先輩って分かりやすいですね」
「ん?なんだ黒子」
「いえ、なんでもありません。」
『え?え?』
ギリッと木吉くんを睨むリコ。と木吉くんの何かを察したみたいの黒子くん。それを面白そうにみているキャプテン、こと日向くん+2年ズ。そして、いまいち状況が分かっていない私。
「まあ、頑張れ名前」
ポンッと伊月くんが肩に手をのせる。
いや、それ私じゃなく木吉くんに言ってあげなよ。ほらだって今、もの凄いリコに睨まれてるよ。
そして
『…まぁ、とりあえず、部活始めようよ』
の、一言でやっと部活がスタートした。
◆マネージャー初日
(っていっても大分、時間減っちゃったな)
(よし、名前!バンバン仕事教えるからね!)
(はーい)
20140529編集