――――――


あれから1年ちょっと。

まだ彼は入院している。


私はバイトがあるから週に1回はお見舞いにきていた。でも、そろそろ退院すると聞いてバイトを辞めた。木吉くんが復活したらマネージャーするって言ったからね。正直、自分がここまでする理由が分からなかった。初めは心配だったから。いや、まぁ今でも心配だけどなんだか少し違う気がする。

うーん…

そんなことを考えながら、部屋を開ける

『木吉くーん』

ガラッ

『って、あれ』

扉を開ければ、部屋はもぬけの殻。

『もしかして、退院した?』

先週も来たのに何も言われなかったことにショックを受ける。が、だんだんそれは怒りに変わっていく。


『…ふっ』

せっかく来たのに…学校が終わって、誰とも会話をせず、すぐに来たのに…

『…退院するなら一言、言ってよ』

誰も居ない部屋で呟いた。


…会ったら何を言おうか


◆おめでとう?
(それとも、教えてくれなかった怒りをぶつける?)
(とりあえず、行こう)
(彼のいる元へ)


20140529編集

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