私は木吉くんが落ち着くまで黙って座っていた。
『落ち着いた?』
「ああ…どこから聞いてたんだ?」
『日向くんと木吉くんが話ているところ…くらいからかな?』
本当は目を開けようと思ったけど、雰囲気的にやめた。あそこで目を開けてたら、ただのKYでしょ。
少し間をおき、
『私、マネージャーするよ』と、決心したことをそのまま伝える。
「え、」
『来年、木吉くんがバスケ部に戻ってきたらマネージャーする』
「でも」
木吉くんが何かを言おうとしたが、その前に私は話し出した。
『今日、途中から見に行ったけど、木吉くんの足に違和感があったの一目見て気づいたの。けど客席に居たしマネージャーでもなんでもない私が指図するのは可笑しいと思って、ただ見てるだけしかできなかった。もっと早くにマネージャーを引き受けていたら…こんなことにはならなかったかもしれないのに…。』
「そんなことないさ。名前がマネージャーにならなかったから怪我をしたわけじゃないだろ。だから無理にマネージャーをしなくても『でも、また次、同じことが起きないように私はマネージャーをしたい。』
「名前…」
『それに、木吉くん達が日本一に行く手伝いをしたいと思ったから』
「…ありがとう」
そう言うとまた涙を流す木吉くん。
『木吉くん、泣きすぎ』
くすっ、と笑い、彼の涙をハンカチで拭ってあげるとグイッと腕を引っ張られ抱きしめられた。
え、
一瞬、何が起こったのか分からなかった。が、理解したとたん、いっきに体温が上がる。
顔が、体が、熱い…
私の肩に顔を乗せ泣いている彼。そんな彼の首に手を回し抱きしめ返す。
『大丈夫だから』それだけ言い、彼の頭を撫でた。
しばらくして、彼が泣き止んだので『また明日来るね』と言い残し、部屋を出たら相田さんがいた。
「あ、えっと…」
『…』
にこっと笑い、『またね』と挨拶だけして私は帰った。
次の日、マネージャーになる事を木吉くんが相田さんに言ったみたいで相田さんが教室にきた。
「これからよろしくね!」
◆よろしく
(仲良くしましょうね)
(うん)
20140529編集