陽介の節ばった指が手馴れた仕草で篤のシャツに忍び込む。
最初に肌に触れる一撫でから、いやらしさを纏う指先に、篤の胸にジリッと熱が走る。
この指で数え切れない女性の肌に触れたかと思うと、燻っている嫉妬の炎が赤い色を灯して篤を焦がすのだ。

篤だって陽介が初めてというワケではない。
しかし、真性ゲイの篤の相手はいずれも同性だが、元はノンケの陽介はもちろんのように女性としか経験がなく、篤が初めてのオトコだ。
今は物珍しい新しい玩具に夢中になっているが、いつか女性の方が良いと去ってしまうではという疑念が拭えず、いつも篤の胸を支配する。

陽介の執着が異常であるほど、一時の熱病にうかされているだけなのでは・・・───

「はっ・・・陽介ぇ!」
しかし、陽介の巧みな指使いはそれ以上の思考を許さない。
シャツの裾から忍び込んだ不埒な指先はわき腹を這い、白い肌に咲く二輪の花弁に辿りつくと、押しつぶすように捏ねる。
前置きのない急な刺激に、篤は思わず声を上げた。
「何、考えてるの?」
「え?・・・あ、やだぁ」
鋭い陽介の声が詰問するが、答えは必要ないとでもいうように、篤の可憐な乳首に容赦なく爪をたてた。

貪欲な身体はその痛みを快楽として全身に伝達する。
「声が甘いよ・・・そんなに気持ちいいの?」
うっとりと耳元で囁く声は、潜む欲望を隠しもしない。

荒い獣の息遣いが耳殻を擽り「篤はいやらしいね」陽介の甘く惑わす声が吹き込まれる。
「あぁ、ん・・・よ、すけぇ・・・」
声だけで犯され、身体の芯がぐずぐずと蕩ける。
陽介の声一つでこんなにも欲情し、淫らな男に仕立てあげられてしまうのだ。

「陽介ぇ、もっと・・・」
金茶のミディアムヘアをきつく抱きしめる。
「ん、もっと俺をあげる」

ギシッ──
より強い力で引き寄せられた篤は、そのまま足を縺れさせるようにして陽介と共にベッドに沈んだ。
重なりあった身体はすぐに反転して組み伏せられる。
上に圧し掛かる飢えた雄の、焼け付くような視線に晒され、篤の背筋にゾワリと淫靡な虫が這う。

「篤の中を俺でいっぱいにして、俺の事以外、考えられないようにしてあげる」


[*]前ページ [#]次ページ
[0]小説top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -