「篤、あつし・・・」
何度も篤の名前を呼んで顔中にキスの雨を降ら、快感で赤く染まった目元に幾度も舌を這わせる。
「ひゃぁ、・・・ん・・・」
耳裏の弱いところに何度も吸い付き、薄っすらと赤くなった痕を確かめる。
行為の熱が引けば消えてしまうだろう、ひかえめに咲く痣。

「あぁ、・・・そこ、やだぁ・・・ん」
首筋に唇を滑らせ、篤が甘い嬌声をあげる場所を確かめるように噛みついては舌で宥める。数え切れないほど征服した身体が、変わらず自分のものであることを確かめる儀式。
「ん・・・それ・・・いた、ぃよ・・・ふぅ、あ・・・」
男にしては華奢な篤の鎖骨は敏感で、シャツに隠れるのをいいことに、思う存分きつく吸い上げては所有の印を刻む。
薄い色はいつのものか。消えないように印を重ね、隙間を埋めるように新しい痕を散らす。
赤い花弁で彩られた鎖骨を眺めて、陽介はやっと安心する。

本当は、身体中の見えるところも見えないところも、どこにでもこの印を刻みたいと思っているが、どんなに理性を飛ばしてやっても篤が嫌がって逃げようとするのだ。
もちろん、それを追って無理矢理奪うこともあったが、そうすると1週間は口も利かなければ近寄ろうともせず、陽介は欲求不満と嫉妬で狂いそうな日々を強制される。
「面倒だから詮索されたくない」という篤に、過敏過ぎると抗議しても変わることはなかった。

篤が同性愛者だと知られることにひどく怯えているのは知っている。
だが陽介は気にしない。恋愛なんて誰かに文句を言われるものではないと思っている。
篤さえ許してくれるなら、世の中の全てに篤が自分の物だって叫びたいとすら思っているし、篤のブレーキさえなければ実際にやっていただろう。
男だろうが女だろうが年寄りだろうが子供だろうが、犬っころに懐かれるのすら許せないのだ。
「ひっ・・・」
いつだったか公園でバ飼主が放していた犬が、あろうことか篤に圧し掛かって顔を舐め上げていたのを思い出して、思わず目の前の鎖骨に噛み付いてしまう。


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