「本当、一体なんなんだろう」
「……教えてほしい?」
「だいたい検討はついてるよ。
ちょいちょいチョッカイ出してきて、しかもあんなにチラチラ見てくるんだから嫌でも分かる」
「えっ、えー!!恋愛に疎いなまえが!?珍しい!」
「そんなに驚くことないでしょ……」

それに、疎くはない。
告白されたらちゃんと気付くし、学校の恋愛沙汰も気付くのは早い方だ。
キラキラした目でチラチラ見てくる鈴音をでこぴんして、私はまた手元の水筒にスポーツドリンクを移す。
一本入れ終わり、蓋を閉めてまた次の水筒に手を伸ばす。
秋に近いというのに何故こんなに暑いのだろうか。
汗を拭いながら溜息を吐いた。
スポーツドリンクを入れて、また蓋をする。

「オイ糞マネ!!」
「またそんな呼び方して!
ごめんねなまえちゃん、ちょっとやっててくれるかな?」
「あっ、ハイ。頑張ってくださいね」

あんな人に惚れられて御愁傷様です。
心の中で手を合わせ、また作業に取り掛かる。
鈴音は隣で私をまじまじと見てくる。
ジャリ、と砂と小石がこすれる音がした。

「ねえ、まも姉のことどう思う?」
「は、え?まもり先輩?」
「うん」

ぽかんとしていると真剣な声色で話しかけてくる鈴音。
なんだかそれが怖くて、私は中々口を開けなかった。

「普通の、とっても美人な良い先輩。
ヒル魔先輩とはお似合いだよ。
まもり先輩がどう思ってるかはわからないけど」

あ、でもヒル魔先輩がフラれるのは面白いかも。
そう言って笑う。あれ、ドリンクが出てこない。
チラリと部活用のウォーターサーバーの蓋を開けて中を見ると、見事中身がすっからかん。
近くのビニール袋を引き寄せて、中に入っているパックのスポーツドリンクの粉を入れて、2Lペットボトルの水を入れていく。

「鈴音、黙っちゃってどうしたの」
「……いや、なまえの鈍感さ加減に嫌気がさして」
「ええ、当たってると思うけど。もしかして二人は相思相愛?」

喧嘩ップル。新しいな。


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