ホームルームが終わった瞬間なまえは立ち上がり、さっさと歩いて武川と道着を取りに行った。
更衣室に入り、道着に着替える。その間武川は更衣室に誰も入らないように見張っていた。
更衣室から出て、なまえは武川の前でくるりと一回転した。

「どや?似おうてる?」
「あーハイハイ似合ってる似合ってる。
流石俺の姪っ子だな教科書とか取りに行くぞ」
「武兄ウチに対して扱い雑すぎるやろ」
「そんなことないで〜ほら行くぞ」

ぶーたれるなまえを宥め、武川はさっさと歩いて行く。こんなのに付き合っていたら、いつまでもふざけた漫才を続けてしまうだろう。
さっさと職員室に入り、教科書やノート等を全て持って教室に向かう。

「てか広いなこの校舎」
「そりゃあ偏差値高い高校はな。滝もあるしなあ。暫く校内図が必要になるだろ。お前方向音痴だし」
「否めへんわ」
「否定しろや」

そんな下らない話をしていると、物凄い早さで誰かが走ってくる。その男子生徒は丸坊主ではなかった。細川一休だ。

「武川先生!阿含サン来ちゃいましたよ!」
「ハア?!いつもこんな時間にこねぇのに……。
アイツ女のにおい嗅ぎつけやがったな!!なまえちょっと教室の前にいろよ。ドレッド野郎が来たら逃げろよ、いいな」
「え?あ?おん」

物凄い剣幕で武川が言うと、なまえはたじろぎながら頷いた。武川は扉を開けて教室を見回した。
そして一休をジロリと睨む。

「阿含いねえけど」
「え!さっきは確かに……」
「た、……武兄これどうすればええの」

なまえの若干震えた声がする。
武川と一休が振り向くと、そこにはドレッド野郎、もとい金剛阿含がなまえをきつく抱き締めていた。
なまえの顔は真っ青だった。
阿含はそれを見るとニヤリと笑った。

「ヘェ、武兄ってことは親戚か何か?」
「は、はいぃ……」
「なまえ!手上げろ!グーでそのままそのドレッド野郎の顎を殴って脳震盪起こさせてしまえ!」
「無理無理無理!」

バサバサと教科書とノートが音を立てて落ちた。

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