帰り道。
東京駅に向かっている途中だ。
現在午後7時半。今から電車に乗ったら神龍寺に着くのは大体8時半過ぎ頃になるだろう。
ピロリロリン

携帯の着信音量が鳴り響く。
なまえの携帯だったようだ。
ポケットから携帯を取り出し、なまえが画面を見るとうげ、と声を漏らした。
画面には金剛雲水の文字。
しかしそれに騙されてはいけない。
ダイアログを見ると、いまどこだカスという件名。
そういえば、阿含だけ着信拒否をしておいたんだったと思い出す。天才はその着信拒否に気付き雲水の携帯でメールを送ってきたのだろう。
着信履歴を見ると名前が阿含だけで埋まっていた。
メールボックスを見ると1分ごとに送られてきていたメールが沢山あった。
顔を青くするなまえを見て、マルコは顔を顰めた。

「なまえ、どうしたの。何か変なもの送られた?」
「や、ああ、まあ……怒られた」
「遅くなったものね。付き合わせてごめんね」
「なまえ、着いたぞ」

東京駅に着き、マルコ達となまえは別れた。
電車に乗るのも億劫で、駅前のベンチに座る。
阿含の着信拒否を解除して、電話をかけた。
珍しくワンコールもかからないうちに阿含は出る。
そして、繋がった瞬間に大きな怒鳴り声。

《おせーんだよカス!!!着拒すんなカス!!
今どこにいんだこのカス!!》
「なんでウチこんな罵られとるん……東京駅の丸の内中央口前のベンチで座っとる」
《あー……ちょっと待ってろカス。
動くなよ。少しでも動いてみろ、プチっと潰してやる》
「……脅しや」

なまえの呟きが届く前に電話を切られる。
はあ、と肩を落として空を見上げた。
曇り空。一雨降りそうだ。


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