阿含が来るのかとソワソワして待っていた。
すると何と、

「お前がみょうじなまえか」
「はい……」
「乗れ」

白い学ランを身に纏った腕の長い男が、ゴツイバイクに乗ってなまえを迎えに来た。
なまえはガクブルと怯えながら、その男、葉柱 類のバイクに恐る恐ると乗った。

「オイ」
「はい!」
「うるせえ」
「か、堪忍や……」
「捕まっとけ、振り落とすぞ」


葉柱に送られる途中、なまえは何度か意識が飛びかけたとか、そうでないとか。
なんとか無事に辿り着く。時間は八時半より少し前くらい。そして、此処は神龍寺の校庭だ。
バイクで階段をかけ上がってきたのだ。
ケツが痛いと蹲るなまえを、バイクから乱雑に降ろし、葉柱は何も言わずにバイクで走り去って行く。
いつか事故るぞ、となまえは青い顔をした。
そして背中に衝撃。

「っだあ!!」
「こんっのクソカスが!!!」
「ちょ、阿含!痛い!大体門限が6時とか今時の女子高生じゃありえへん……いだだだだ!!」
「るっせえお前は警戒心っつーモンを持て!!
このカス!お前なんかみてぇなチビカスはタカられて有り金絞られて潰されるのがオチなんだよカス!」

峨王がいたから絶対それはない。
なまえはそんな言葉を飲み込んで、素直に謝ることにした。反論をすれば阿含からの手刀の雨が降るだろう。

「ほんまに堪忍や。次からは気いつける」

そう言えば、阿含はただ黙ってなまえの頭を軽く叩いた。様子がおかしいとなまえが覗き込めば、阿含は少し眉を寄せていた。

「帰るぞ」
「あ、……おん」
なまえが立ち上がると、阿含はなまえの手を取って、少しだけ強めに引いて歩き出す。
昼間とはうって変わって、涼しい夜だった。

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