氷室となまえは手を繋いで、服屋をウロウロと歩き回る。
そしてめぼしいものを見つけると、これが可愛い、こっちもいい、と女子トークが始まる。
必然的にマルコと峨王は二人になってしまうのだが、マルコは目の保養だ、と言って二人を目で追いかけていた。
峨王は暇そうに隠しもせず欠伸をする。

「峨王、こっち来てくれへん?」
「ん?ああ、なんだ」
「あの服を取ってほしいの」

なまえが峨王に手を振り、氷室は臆せず服を指差す。
その女子二人の輪に峨王が入り、マルコは一人なった。
そんなマルコは、愛しのマリアに思いを馳せている。
なんとも自由な四人だ。
そして一人でいることによって周りからの逆ナンパ。
それをやんわりと断り、俺も入れてと三人の輪に押し入る。

この光景だけを見ると、四人はただの高校生だ。
平和な日常はいとも簡単に崩れ去るし、時間が過ぎれば暖かいものは冷める。
全ては平等に流れる。

「あ、これ買わへん?」
「リストバンド……って、峨王入らないっちゅう話」
「……入ったぞ」
「ええ?!そのリストバンドどうなってるの……」

わあわあと騒ぎ、四人は一人一つリストバンドを買った。
これならマルコが運動系の部活に入ってても大丈夫やろ、となまえは大仰なポーズをした。


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