め
阿含は女が髪の毛を乾かしている間に荷物をまとめ、ホテルから出て行く。もちろん支払いは女がする。
ノロノロと練習試合の場所へ向かっていると、携帯電話に着信。阿含が携帯電話を手に取ると、小さな画面にはみょうじなまえ、とあった。
電話に出ると、阿含の耳を怒号が貫いた。
「このアホ!!はよせえ!後半入ってまうで!雲水の怒りが珍しく爆発しそうなんやけど!」
「うっせえ。今何対何だよ」
阿含がそう聞くと、なまえは少し黙り込んだ。急かすと、なんと驚きの言葉が。
「……七対ゼロ」
時が止まった。
後半に入って、弱小校に、神龍寺が、七点しか獲れていない。たった、七点。阿含は携帯電話に向かって叫び、阿含のものになってしまった哀れな電子機器はミシミシと音をたてた。
「しょうがないやろ!一休は腕駄目になっとるから入れへんし山伏先輩も前半の時色々あって潰されてもうたし、二軍と三軍は神龍寺に置いてきて四軍にもロクな奴おらんし!!」
「早く言え!今行く」
一方的にブチッと通話を切ると阿含は走り出す。
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