それは、突然。
(え…………?!!)
手が透けていた、それはもうはっきりと。手の向こうに景色が見えるだなんておかしすぎる。だけど、確かに透けてしまっている。
あまりの出来事に固まってしまっていると手はだんだんに輪郭を取り戻してきて、もとのように戻った。もう、透けたりはしていない。だけどそれと同じくして悟っちゃった。
もう、お別れなんだね。
元就さんと一緒にいられるのもあとちょっと。
「……?どうした、」
「あ、元就さん!なんでもないですよ。それより今日のおやつはなににしますか!」
「まったく…貴様の考えはそれしかないのか??」
「えへへ…」
「柏餅らしいぞ」
「やった!はやく行きましょう!」
お別れだなんて、誰にも言えないよ。
わたし、が寂しくなっちゃうもの。まだ、もうちょっとだけあなたのそばになんにも言わずにいさせてください。
見上げれば爛々と輝く太陽にそんなことを願ってしまった。
「、まぶしいなぁ…」
「すべての恵みだからな。日輪が輝かねば、ほかのなにも輝かまい」
「うわ、日輪の申し子らしいですね!」
「………本当に、なにもないのか??」
「え?」
「無理をしているようにしか見えんぞ」
「…や、やだなぁ元就さん。そんなの気のせいですよ!多分甘いものが不足しているだけなんです」
「…そうか、ならば今回はそうしておこう。だがなにかあったときはちゃんと我を頼れ」
「元就さん…」
「勘違いするななまえ、貴様のためではなく我のためよ!」
まったく困っちゃうなぁ。優しい上にこんなところでツンデレ発動だなんて!
思わず、笑っちゃった。
「ふふっ……」
「む、なぜ笑う」
「元就さんがかわいいなぁって。」
「な!我はかわいくなどない!!」
「じゃあかっこいいです。……ありがとうございます」
お願いです、神さま、日輪さま。
できるだけ長く、わたしをここにいさせてくださいな。
もうすぐさよならだから
(さよならなんて、したくないや)
(p)△( n)
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