「元就さん、」

「……なんだ?」

「元就さん、」

「なんだ?」

「もとなりさん、」

「……だからなんなのだ!」

「ただ呼んだだけですよー」

「ほう…我をからかってそんなに楽しいか??」

「ちょっ…!ご、ごめんなさいっ謝ります!だから輪刀はしまってください!!」

もう……。
ちょっとしたことで怒るんだから(まあでもそれが元就さんなんだけどね)

「…この仕事が終わったら付き合ってやるから待っておれ」

「…!本当ですか!?
ならわたしどこかに行きたいです!」

「なに?」

「だって考えればわたし元就さんとどこか行ったことないんですよ!城のみなさんとか元親兄貴にはちょっと連れて行ってもらいましたけど、」

元就さんはいっつも仕事とか日輪〜、で忙しいんだもの。たまには我が儘言ってみてもいいんじゃないかな。


「……いつの間に長宗我部とどこか行ったのだ??」

「この前また遊びにきてくださったときに海に連れて行ってもらったんです。やっぱり海の男って感じでした!」

船にまで乗せてもらっちゃったんだ。

「貴様はまだ無断でそんなことしおって……」

「元親兄貴だったら安全じゃないですか!!」

「もしもということもあろう。未来からきたというだけで狙われるのだからな」

そこまで甘くないぞ、戦国乱世は。

「それでも、わたしは帰ってきますよ!誰に連れ去られても、わたしの居場所はやっぱりここですもん!」

現代っ子舐めないでくださいね!

強くそういえば、元就さんは観念したように重くため息をついた。

「はぁ……そこまでいうのなら、長宗我部のところぐらいなら行かせてやろう。だが、次からは我に知らせろ」

「はい、わかってます。ちゃんと知らせればいいんですね!」

「そうだ、我の目のとどかぬとこでなにかやられるわけにはいかぬからな。
……それで、どこに行く?」

「へ?行ってくれるんですか??」

「行きたいと言ったのは貴様だろう。なら行かなくてもよいが、」

「わー!行きます、行きたいです!なら海に行きましょう」

「…長宗我部と行ったのではなかったか?」

「わたしは元就さんと行きたいんですよ。元就さんじゃないと意味ないんです!」

「?、まあよい。ならば早く支度をしろ、我はもう終わるぞ?」

「はい!」


やった、まさかの元就さんと海だ。
期待に胸を踊らせながら、わたしは支度をしにいった。






「はぁ……この乱世をまだわかっておらぬのか??」

とはいっても元親ならばそんなせこい真似はしないだろうが、ここには豊臣や織田なども存在する。そうしたらなんの戦いの手段ももたない少女など、生き残れるはずがないのに。

「我も、丸くなったものだな…」

前はそんなこと気になぞしなかったのに。なまえが来てから我変わったのか、それとも…
まあ危険だからといって、ずっと城から出さないのも息がつまるのだろう。そのせいで城から抜け出すというのなら、いくらでも付き合ってやる。

なぜそう思うのか、それはなまえが特別な者にかわったのだと気づいたのはいまだった(ならば、嫉妬??)(束縛をしたかったのかもしれない)


ことばじゃ伝えきれないから
(おまえが)(好きだということ)(不器用なのも困ったことよ、)





pn


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