「ああそうだ!あたし、聞きたいことあったのよ。太公望殿とずいぶん仲良くなっていたじゃないー!!望ちゃんだなんて呼んで」
「彼があんな風に笑うの初めて見た」
「え、うええぇ…?」

「だって、彼は仙人様ですもの。みんな恐れ多くてそんなことはできません」
「いやあ、仙人さまとかもう物語の空想人物でしかないし、馴れ馴れしいのがぼくの標準装備……」
「だーったら、あたしたちだってもっと馴れ馴れしくしてくれて構わないんだから!」
「あ、はい…」
「け、い、ご!!」
「尚香、がっつきすぎ」
「ふふ、でもあだ名ですか……。そういうのっていいですよね」


馴れ馴れしく……かあ。
望ちゃんのときはある意味非常事態で、混乱してたのもあるけど、基本ぼくだってTPOわきまえるんだからねえ。
まあつーくんにはーちゃんにたーくん。あとはすっぴーにぱなちゃん。
時に空気とは読まないものでしたが。
それにしても………

(へえー!そーいうのっていーな!あのさ、僕たちのこともそーいうのでいいんだぜ?)

それにどっかしら懐かしさを感じるのは、なんなんだろーね。




「星彩ちゃんは……せいちゃん、尚香ちゃんはしょうちゃん、稲ちゃんはいっちゃんって……そのままだけど。いーのかなあ?」
「……うん!いいわ、かわいいじゃない!」
「……………」
「星彩もいいみたいですね」
「あ、はは。気に入ってもらえたよーでなにより、か…………ぎゃっ!?」
「………………ふふ、お礼よ」
「お礼?!ほっぺ抓ることが!?お礼参りの間違えじゃなくて」
「いいですね。じゃあ私も」
「いっひゃんまれ!ひょんとはきに、いってにゃいんれひょう!?」
「そっ…んなことな、いわ……あ、ははは!はははは!変なかおー!!」
「ひじょっ!!」
「あはは、あんたも笑いなさいよー。それっ」
「鬼畜ですね、くすぐるとか」
「はうっ…にゃ、ぎゃはははは!ちょ、らめえっ……ってこにょしぇりふこしょ、らめえええ!!」


1対3は卑怯だと思いながら、散々に暴れてやっと抜け出したころにはぼくの息はもう切れ切れで。
でもまだ三人は笑っているわけだから、もうどうでもいいかとぼくもにひひと笑ってしまう。


「あ、笑いました」
「に、ひ?」
「あんたってばせっかくかわいい顔してんのに、お人形さんみたいに表情あんま動かさないから心配したのよ」
「ふふ、まるで星彩みたいでしたよ?」
「あうー?ぼくってばそんなに仏頂面?」
「………ミオ?」
「ぎゃはっ……あ」
「あっはは!いーのよ、事実なんだからー!あーもう、かわいいじゃない、あんた!」


ぎゅっと抱きしめられ……にはずいぶん強い力で、そう、締め付けられるといったほうが正しい力でしょうちゃんに抱えこまれる。
世の中の男性にとってはこれ替わってほしいんだろうなー。だって身長の問題で胸とかいろいろ当たってるし?
まだ声をたてて笑ってるいっちゃんと、なんだかんだで小さく笑ってるせいちゃん。それにぼくに抱きつく、しょうちゃん。
昔のお姫さまたちってもっと偉そうにしてたりするもんだとばかり思ってたけど、ただの偏見だったみたいで。彼女たちはぼくよりちょっと年上の、かわいいかわいい普通の女の子じゃんね。
あだ名とかでわいわい騒いだり、する……

「(あー、なんだ。ぼくのクラスメートたちと一緒じゃん)」
「ミオ?」
「んーん、……ありがとうございます」
「なによ」
「最初、気い遣ってもらっちゃったみたいだしね」
「あらそんなこと?そんなのはいーのよ」
「これから一緒に頑張りましょうね」
「はい、よろしく!」


いっつもなんだかんだで、誰かと一緒だった甘えったれがいつもどーりなんて無理に決まってた。けど、どこの時代だって女の子は一緒、ならなんとかやっていける気もするのは、確かみたいだ。






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