あのあと、未来というものに興味があるらしくて。未来のこととか関係ないぼくのこととかいっぱい聞かれるけど、そーいえば。


「ぼくなんかのことよりさー、みんなこと恋人のお話とか聞きたいなー」
「ふふ、あるわよー!たとえば!…星彩は関平殿よねー?」
「…違うわ、彼はただの従兄弟よ」
「そーは見えないけどね!」
「かんぺい、さんかあ…すぐに会える感じ?」
「今は蜀にはいないからちょっと難しいですね…」
「そっかあ、残念」
「そうそう、それで稲はね……」
「ぼくの歴史だと真田信之って人だったかなー」
「なっ……!なんで?!」
「ぼく、記憶力はいいんだよう。それに、だって有名なんだもん。あの真田幸村が弟ってすごいよねえ」
「もう………あんまりからかわないでくださいね!」
「ふふ、いいじゃない」
「星彩まで敵にまわりますか…!」
「んじゃああとひとり、しょうちゃんは…」
「私?私はもちろん玄徳さまよ」
「玄徳さま………劉備、さま?」
「ええそうよ。私、こう見えても孫呉の弓腰姫って呼ばれてるんだから!」
「ふえー!三国志がこんな身近にいるもんなんだ……」



話してしまえばあっという間に時は過ぎるらしくて、けっこうな時間が経っていたらしい。その間にケータイなんかの説明をすれば、また驚いてもらえたみたいで。
そーいえば、恋のはなしとかされたけど、ぼくにはそんな甘い話はなかった、と思いかえす。だけど、むかし、《むかし》……とおい………

「……失礼する」

ノックの音と誰かの声が響いた。
振り返れば、無表情のまま佇む仙人さまがいて、何のようかと疑問に思う。


「少し話があるのだが、よいか?」
「えっと……」
「いーわよ。さあて、私たちはそろそろ行くわね。また食堂で会いましょう」
「あ、うん!ありがとう」


なーんでかニヤニヤしてる3人を見送って、入れ違いで望ちゃんが入ってくる。とりあえず、イスに座ってもらって……お茶の準備とかはできないや。


「どーしたのかな?」
「慣れたかと思ったのだが」
「けっこうね。しょうちゃんたちのおかげかなー」
「……貴公は誰でもそのように変な名前で呼ぶのか」
「へ、変なって失礼だよう!しょうちゃんたちはあだ名で呼んでって言ってくれたんだから」
「それはそれは大した物好きだ。………さて、これからのそなただが、状況はつかめたか?」
「あ、うん…まあとりあえずぼくのいたとこはいっちゃんの世界の未来っぽいとか?あとこの世界が物騒とか?誰と誰がくっついてるとか?」
「………あえて、発言は控えさせていただく。ならばミオは誰よりも未来からきたというのだな?」
「むー……、まあぼくのほかにぼくのとこから来てる人がいないならそーいうことになるのかなぁ。たぶん、いないだろうけど」
「そうか。ならばますますその知識を貸してもらう。なにか必要な物があれば言え」


そう言う望ちゃん。だけどそんないい待遇なんてもらっていいのかなー。まがりにも、戦の最中、なのにねえ。もっとうろたえてたっていいはず、それとも勝つ自信があるからこうも落ち着いてるのかな?
それとも仙人さまってやっぱりどっかずれているのかもねえ。なんて。その横顔をじっと見つめる。


「やっぱり綺麗、だなー……」
「なんだ?」
「望ちゃんの髪だよう。光があたってきらきら光ってて、すっごく綺麗なの」
「……そんなことを言うのはそなたがはじめてだがな」
「こんなにも綺麗なのにねえ」


きっとみんな遠慮してるんだよ。
望ちゃんったら近づきにくい雰囲気してるんだもの。なんてもったいないんだろーねえ。きらきらしてるものを眺めるのは、もちろん好きで。多分にこにこしながら眺めてたら、ふいに望ちゃんが表情を少しゆるめた。


「そなたが変わっているだけだと思うがな……人の子は面白い」
「失礼だなあ。望ちゃんほどはかわってないもん」


べーって舌を出していってやったら、またおかしそうに笑ってくる。わわっ。だから不意打ちはひどいよう。ぼくだって年頃、ドキドキしちゃうんだから。顔赤くなってたらどうしよう。


「くく…いや、そなたがかわっているのだ。さて、時間になったな。みな食事のために集まり始めてるだろう。私達も食堂にいくとするぞ」
「ひと、いっぱい?」
「それはそうだろう。食堂だ」
「うへー……」


ひと多いとこ、好きじゃないんだけどなあ。
10人くらいが、ちょうどいいのにねえ。












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