「この子が兵法?それは難しいんじゃないの?」
「私もそう思いますが……。やはり戦場を知らなくてはよい策は作れませんからね」

そのとーりだと思います。戦について、いまから学んでどーなるのかなあ。

(だけど、当然のように言われた言葉に、×××としてのプライドが反応してるよねえ)

………あれ?いまなんか、変な感じ………は気のせいとして。しょうちゃんもりくそんさんも反対してくれている。たしかに役立たずなのはなんか申し訳ないけど、余計な手間をかけさせてしまうんじゃないかな、と思うなあ。


「ああ、そのことについても問題はない。ミオ、超直感とやらを見せてやれ」
「え、まあ、いいけど。
…………じゃあそーだなあー。なにか無くしものとかをして見つからない人いませんか」
「無くしもの?」
「では僭越ながら私が。いつもつけていた耳飾りの片方を先日なくしてしまいまして…」


ふうん、月英さんの耳飾り、かあ。
超直感なんて見せてどーなることやら。それにこれは本当は人間相手につかうのが正しいんだけど、たまには最高血統にも役立ってもらいます。


「んー、多分、寝室の枕のしたにあると思いますよう。」
「劉備様、孔明様、ちょっと失礼します」

ぱたぱたと見に行く月英さんを見送って、生意気に両手で頬杖ついたりする。んー、沈黙が痛いなぁ。でもねえ、きっとあるよう。ぼく、つーくんよりも9代目のおじいちゃんよりも直感だけは優れてるみたいなんだ。行ったときと同じようにぱたぱたと駆けてくる月英さんの手に、耳飾りが握られているのを遠目で確認して、ぼくはくすりと笑う。

「ありました、孔明様に頂いたものです」「へー、あんたこんな能力隠し持ってたなんて、やるじゃない!」
「にひひ、ぼくの血統に継がれる力なんだってー」
「これだ。うまく使えば妲己を追いつめるのに役立つだろう」
「そうですね…あとは本人の心だけです。ミオ殿、あなたは私のもとで学ぶ気がありますか?」


「確かに似ていないけれど、だからこそ似ているよね。さて君は、私のもとにくる気はあるのかな?」


じっと見つめてくる諸葛亮さんに変な既視感。でも、あのとき、だっていまだって、ぼくの選ぶ答えなんて、決まっていたじゃない。


「はい。よろしくお願いいたします」
「……ええ、こちらこそ」


この世界にきて望ちゃんに拾ってもらえなかったら、きっとぼくは死んでいた。それを助けてくれて、劉備さまもみんなよくしてくれて。だからぼくもみんなのためになにかしたいの。それって、いけないことじゃないでしょう?
諸葛亮さんの目が優しげに細められた気がした。

「私もあなたの力を引き出せるように尽くしましょう」
「あ、ありがとう、ございます…!あの、みなさんも改めてよろしくお願いします」
「本っ当に改めてね!ご飯もう冷めちゃうわ、頂きましょうよ!」
「はあい」
「ふふ、共に頑張りましょう?ミオ殿」
「あ、はい!りくそんさん!」


きっと望ちゃんがいま食堂に連れてきて、わざわざこんなパフォーマンスをさせたのは、諸葛亮さん……せんせいに引き合わせるため、と周りに認めさせるためかな。
なんだかんだでこちらを伺っている人間が多い。こんなぽっと出の奴がせんせいだとか、しょうちゃんだとかと仲良くしていたら問題があるもんねえ。ちゃんと後ろ盾がいるって示した。
ぼくが気づいてるとはさすがに思ってないかなあ?
隣に座る望ちゃんがよくやった、言ってくれたことにピースで応える。ぼくだって、けっこうやるんだよう?ってね。



それに少しだけ、驚いた様子をみせてくれたことに満足して食事に手をのばした。








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