幸せそうな「ふたり」

 

「チカー」

名前を呼ぶとすぐに飛んでくるチカの頭を撫でるとにこりと笑う

「今日は俺の会社の人が来るんだ、
前言ったみたいに寝室で大人しくしてくれねぇか?」

「ん?うん、ちかべっどいってる」

とすぐに寝室に行こうとするチカを呼び止める

「Wait、チカ、夜だからまだいいぞ
夜まで暇だから遊んでるか」

今日は日曜日、1日中チカと遊んでやりたいところだがそうはいかない
同僚との飲み会、不景気だからと強制的に俺の家にビールやなにやら持ってきて朝まで飲むらしいついでにいうと明日は祝日で休み

「きょうはどんなひとがくるのー?」

「Ahー俺の友達、か?」

「あってみたい」

「ズボン履かないから寝室で待機っつったろが」

「うそだよー」

「あ、くそ可愛いなぁあんたはもう
でもそろそろズボン履いてくれよ」

という会話をしながらのんびり過ごす午前
チカ馬鹿がちらほら見えるがいつものことだから仕方ない

「なんにんくるのー?」

「三人だな、たぶん」

「たぶん?」

「あ、一人増えるかもなー」

「4にんも!?」

見開いて驚くチカの目がキラキラしてる
眩しいっなんて言わないが思ってる

「いや5人か?」

「もう!はっきりしてよ」

「Sorry」

やべぇ今日ドタキャンしたいずっとチカと遊んでたい
そんなことを思っているとインターフォンが鳴った

「はい、…佐助か」

受話器を取ると同僚の声
低くなる声に佐助からどしたの!?という声

「ビールと果物さー政宗の冷蔵庫に入れさせてくんない?」

ガチャ

「Wait…冷蔵庫空いてたっけな…ってガチャ?」

「あれ、鍵空い…」

「こんにちはー」

あの猫鍵勝手に開けやがった

「ちょ、チカ!」

「こんにちはって、猫耳?政宗の趣味?てかこの子誰だい?」

「ちかっていいますまさむねのかいねこです!」

と玄関でドアを開けたパンツのチカ
猫耳でパンツで飼い猫の人間と同居してるのがバレた、

「…ちょっと政宗どういうこと!?」

「Ah…そいつは…」

「こんな可愛い子いるなら早く言ってよ!」

「Ha?」

Cute?チカが?チカが可愛いってそら当たり前だろ?
と思うがなんで佐助は驚かない、自由に動く耳と尻尾に
目を見開いて佐助を見てると

「俺もいたんだぁ…もう死んじゃったけど
チカちゃんって言ったね
きっとチカちゃんも猫から人間になったんでしょ?
だから服を着ることを拒んで知能が低い」

ここまで理解できてるっていうことはやはり居たらしい

「猫じゃなかったけどねーってあれ?しんみりしてる?」

「そらするだろ、今は居ない奴の話すんだからよ」

「ちかもしぬの…?」

耳をへにゃりとさせて問いかけてくるチカを政宗は撫でた

「チカ、人も猫もいつかは死ぬんだ、
ずっと生きてるなんて、ないんだぜ」

俺も死ぬ、チカも死ぬんだ、いつかは

「そっか…ちか、しぬならまさむねといっしょにしにたい」

それならずっといっしょでしょ?
にこっと笑って

「じゃ、べっどごぅとぅしてくる!」

家の奥に消えたチカをしばらく見てから
佐助を家に入れた

「グラス冷蔵庫にいれとくよー」

「Ahー冷凍庫のが早く冷える、」

今日の宴会の準備に忙しくしていると、たまにひょこひょこと寝室から白い毛や尻尾が顔を出しているのが分かった
どうやらリビングに出てきたいらしい

「チカ、」

呼ぶとなに!?と寝室からうれしそうな声

「佐助の前なら出てきて良いぜ
もうばれたんだし」

チカのせいでなと軽く笑っていうと

「ごめんなさーい」

と寝室から走って政宗に抱きつく

「チカちゃん政宗のこと好きなんだねー」

ぶどうを冷蔵庫に入れて次の用意に取り掛かりながら笑っていう佐助にチカは言う

「ちかはまさむねのことだいっすきであいしてるの!すきじゃないのだいっすきであいしてるの!」

ふんっ!
と誇らしげに言うチカを政宗は抱きしめた


幸せそうな、「ふたり」
(チカちゃんをいっぱい愛してあげてね)
(俺の分まで、いっぱいいっぱい)



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政宗の同僚の佐助もチカみたいな半獣が居た
それだけ把握してくだされば良いです

(091119)


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