その日、眼が覚めると、もうお昼近い時間だった。
僕はベッドからのろのろと這い出して、ベッドサイドに置かれた眼鏡を掛け、バスローブを身に付けた。
そしてそのままバスルームへと向かい、洗顔を済ませ、再び、自室に戻る。手早く着替えを済ませて、今度はリビングへ。

さて。これから、どうしよう…、かと、思案してみる。
突然、今日丸々一日オフだと、上司から言い付けられて。こんな風にぽっかりと、一人の時間が出来てしまうのは、入社後初めて経験で、何をしたらいいのか、正直、戸惑ってしまう。
テレビでも付けてみようか。…だが、こんな時間だ。為になる番組も面白そうな番組もやってはいないだろう。
それとも、食事でも作ってみようか。そう言えばこの前、おじさんに炒飯のレシピを半ば無理矢理、渡されたのを思い出した。…だけど、それほど、お腹も減ってないし。それに、起きて早々、そんな油っぽいものは、余り食べたくはない。

そんなことを考えていたら、不意にチャイムが鳴った。
昼間のこんな時間に、誰だろうか?
来客の予定など無かったはずなのに。
テレビモニターに、訪問者の映像を出してみると、そこにはよく見知った人物が映し出された。
僕は玄関へと行き、慌てて開錠して、勢いよく扉を開く。
刹那、パン、パンと何かが破裂した音がして、身体は紙テープやら、小さな万国旗やらに一瞬にして包まれる。

一体、何なんだろう…?

髪の上に乗った紙テープを振り払って、改めて訪問者を確認する。

「こんにちは、ハンサム」

そこにはにこやかに笑うファイヤーエンブレムと、大きな包みを提げたブルーローズ、ドラゴンキッドが立っていた。

「どうしたんですか、三人揃って、こんな時間に…」

僕の言葉に、ファイヤーエンブレムは少々驚いた表情を返す。

「どうしたって、貴方、本当に分からないの?」
「本当に、ってどういう…」
「今日はバーナビーさんの誕生日でしょう?」
「僕の誕生日…」
「アンタ、自分の誕生日も忘れちゃった訳?」

呆れ気味に言うブルーローズに、僕ははっとする。
あぁ、そうか。そう言えば。今日は10月31日か…。

「ねぇ、本当に忘れちゃってたの?そんなところまでタイガーに影響される必要なんてないのに」
「いえ、忘れていたと言うか…」

ただ単に、自分の誕生日というものに興味が無かっただけ、というのが正しいだろう。
サマンサおばさんやマーベリックさん以外の誰かに祝って貰おうとか思ったことが、特に今までなかったから。
どうでもいいとさえ、思っていたから。
あぁ、それでさっき、クラッカーを鳴らしてくれたのか…と、漸く納得する。


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