俺にしとけば? | ナノ


▼ 03

でも、俺は一応新太より年上だし…何ていうか、威厳みたいなものを主張したい気持ちはもちろんある。

「…分かった」

ぷちぷちと彼のシャツのボタンをはずしていく。震えてしまいそうになる指先を必死に抑えこんだ。

「そんなにじっと見ないでよ」
「いや、緊張してるかわいいなぁって思って」
「してない」
「俺はしてる」

新太は俺の手を掴み、はだけたシャツから覗く自分の胸元に触れさせる。指先から伝わる鼓動があまりにも激しくて、思わず目を見開いた。

「新太…心臓が尋常じゃない動きしてるよ」
「そりゃね。だってずっと片思いしてた相手のこと抱くんだもん」

さらりとそんな台詞を言えるのがすごい。

「…もー…そういうこと言ったら、余計恥ずかしくなるからやめて」
「今からもっと恥ずかしいことするのに、これくらいで弱音吐いてちゃ駄目だって」

や、やっぱり俺が、入れられる側、なんだよね。

新太と恋人同士になってから、一応そういう行為の知識は学んだ。女性とは身体の造りが違うため、受け入れる場所が特殊であることも。

「…あの、新太、俺は…」

新太と繋がることに抵抗は全くない。むしろ嬉しく思う。でも、痛いのは、怖い。

こちらの考えていることが伝わったのか、彼は安心させるように優しく微笑む。

「分かってる。絶対に痛くしない。気持ちいいことだけする」
「…ん」
「俺に全部任せて?」
「うん」

信じる、と呟いて抱きつくと、新太はそのまま俺の身体を後ろに押し倒す。

「ん、う」

甘い甘い口付け。ベッドに全身が沈み込んでいくのが分かった。

「傑」
「は、ぁ、なに…?」
「好きだよ」

…ずるい。そんな風にいきなりはずるい。

「俺も、好き…」

ねだるように腕を伸ばし、首に絡ませる。少し荒っぽいキスが降ってきて、俺は熱い吐息を零した。



「力抜いて。息吐いて」
「…っん、ぁ、ひ…」

そんなこと言われても、分かんない。

穴の入り口にぴったりとくっつけられた新太の指。ローションでぐちゃぐちゃのそこは、多分きっと力を込められればすぐに指の一本くらい受け入れるだろう。

だけど、彼はそうしない。俺の息が整うまで、心の準備ができるまでずっと待ってくれている。

「はぁ、あ…ん、大丈夫だから、いいよ」
「…ん。無理しないでね」

次の瞬間、ゆっくりと侵入してくる指。異物感に息を詰め、シーツを握りしめた。

「辛い?平気?やめる?」
「へ、へーき…ん、ちょっと、変な感じ、するけど」
「…ごめんね」
「なんで、謝るの」

腸内を探るように動いていた指が止まる。見れば、新太が不安そうにこちらを見下ろしていた。

「俺は、傑と繋がりたいってそればっかりで…こんな風に、受け入れる側の苦しさなんてちっとも考えて無かったから」
「新太…」
「傑、辛いでしょ?もうやめてもいいんだよ」

…もう。本当に、馬鹿なんだから。どこまで優しいんだよ。今にも泣き出しそうな顔しちゃって。

きゅっと心臓が苦しくなる。この人を幸せにしたい。幸せ以外の感情なんて、入る隙間のないくらい。

「新太」

少し身体を起こし、その唇を挟み込むようにキスをした。愛しさが伝わるように。好きだよって、言葉以外でもちゃんと分かるように。

「すぐる…?」
「最後まで、して」
「え」
「俺も新太と繋がりたい…」
「…っ!」

その顔は可愛すぎるでしょ、となんともわけの分からないことを呟かれた。可愛いって…嬉しくないです。

中に埋まったままの指が、再び動きを開始する。

「ぁ、う…新太、新太」
「傑…」
「ん、んん、ふ、ぁ、あっ」

深い深い口付けで力が抜けていく。額に汗が浮いてきた。

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