▼ 03
「はぁ…あっ、う…」
両手を彼の顔の横につき、肩で息をする。体力には自信がない。ましてやこんな全身を使う運動などもってのほかだ。
許容量を超えたせいで、彼の穴からはとめどなく精液が溢れだしていた。その刺激にすら感じているのか、亮一さんは小さく声を漏らす。
「ん…もったいない…」
何がもったいないのかさっぱり分からない。
「…約束ですからね。ちゃんと教えてくださいよ」
「ふぁっ、分かってる」
ゆっくりそれを引き抜けば、案の定精液まみれになっていた。どんだけ出したんだ、僕。
その辺にあったティッシュで拭おうとすると、亮一さんは楽しそうに言う。
「お掃除フェラ、してあげようか」
遠慮します。
*
「はー…」
長時間パソコンの画面を見つめていたせいで、身体が凝っている。軽く伸びをしながら椅子にもたれかかった。
「ん?」
机に置いた携帯が着信を告げている。画面を見て目を丸くした。…り、律君じゃないか。
彼が俺に電話をしてくるなんて初めてのことだ。慌てて通話ボタンを押す。
「も、もしもし」
『…』
「律君?律君だよな?」
『…りょーいちさん』
「どうした?俺に何か用事?」
『ふふふ、りょーいちさんらー』
えっ何その可愛い声。
電話の向こうから聞こえてくる気の抜けた声は、いつもの彼の声をは全く違う。っていうか、酔ってる…のか?なんだかふわふわしている。
『僕いまナースなんですよぉ。りょーいちさんはぁ、ナース好きれすか?』
「ナース!?」
思わず椅子から立ち上がってしまい、研究室にいた他のメンバーからの視線が突き刺さった。
しかし今そんなことを気にしている余裕なんてない。ナースとは何だ。ナース服のことか。
まさか律君、酔うと女装に目覚めるとかそういう性癖…。なんだそれすごく興奮する。
『んふ、みんな似合うって言ってくれたんれす!』
「ちょっと待て、みんなって誰だ」
『ゼミのみんなですよぉ』
なんてことだ。思わずぎりぎりと歯ぎしりをする。
俺よりも先に律君のそんなかわいい姿を見た奴がいるなんて…!ずるい。ひどい。羨ましい。
『りょーいちさんは、僕にいっつもおんなのこになってっていうからぁ、よろこぶかなって』
見たいですか?と色っぽく囁かれ、顔が熱くなるのが分かる。
そんな、そんなの、見たいに決まってる!俺はナースが好きだ!っていうか律君が好きだ!
「り、律君いまどこにいる?」
『今ですかぁ?えぇとぉ、駅の近くのぉ…』
「迎えに行くから、絶対誰にもついて行っちゃだめだぞ?ふらふらもしちゃだめだ。そこを動くな」
『はぁい』
駅なら急げば10分くらいで着く。慌てて研究室を飛び出した。
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