ループライン | ナノ


▼ 03

「…っ、は、はいっ…た?」
「あぁ、全部、奥まで」
「ひう…っ!!」

くん、と確かめるように腰を一度送り込まれ、俺は布団の上で背中を仰け反らせる。

「…エロい顔」
「そんなの、忠太だって…っ」

いつも飄々としている忠太が、その頬を薄らと赤く染めている。首筋には汗が滲んでいて、暗闇できらきらと光っていた。

俺に夢中な、忠太の顔だ。

「っこら、締めるな」
「ご、ごめん…」

うっかり見惚れていたら、内心のときめきが身体にまで現れてしまったらしい。忠太が熱く息を吐いた。

「…タマ」
「ん…ぅ」

きゅっと布団の上で両手を繋いで、口付けを交わす。内側から解かれるような優しいキスに酔わされて、俺は瞳を潤ませた。

「ん…むっ、ん、んっ、んっ」

忠太は唇を重ねたままで少しずつ腰を動かしてくる。無我夢中で舌を伸ばしながら、空いた隙間から必死に酸素を吸い込んだ。飲み込めない唾液が顎に伝うと、それを舐めとられる。

「タマ…タマ、環…」

はぁ、はぁ、と互いの息遣いが部屋に響いた。忠太は何度も俺の名前を呼び、その張り詰めたもので強く内側を抉ってくる。

忠太の伏せられた瞳が、時折表情を確かめるようにこちらを覗いた。涙でぐちゃぐちゃになった視界の中視線を合わせ、震える口で呟く。

「ん、ぅんっ、ん、忠太、ぁ、好き、好き、すきぃ」

声に出した瞬間、さらに一層彼のことが愛おしくなった。それに呼応するようにして後ろを締め付けると、忠太が耐えきれずに小さな声を漏らす。

「お前、今そういうこというの、反則…っ」
「あぁぁ…ッん!!」

ぐりぐりと亀頭をねじ込むように押し付けられ、思わず悲鳴をあげた。頭が真っ白になるほどの快感に支配され、自分の意志とは無関係に身体が浮き上がる。

「うあっ、あっ、あっ、あぁ…っ」

どんどんとストロークが短くなっていく。ぱちゅぱちゅと小刻みに奥を叩かれ、俺は涙を零しながら身を捩った。だめ、だめ、と何がダメなのかもわからないまま泣きじゃくる。

「タマ、もうイく?イきたい?イくって言って」

忠太もイきそうなのか、その顔は快感に歪んでいた。俺はこくこく頷いて忠太に縋りつく。

「イく、イっちゃう、忠太ぁ、どうしよ、もう、あぁっうそ、やめて、怖い、だめ、イっちゃう…っ出る、出ちゃう…っ!!」

がくがく震える俺の身体をしっかりと抱きしめ、忠太は気持ちいい場所をひたすら突いてきた。

「んやぁ…っ、あっ、やっ、…ッ、ひ…ッ…っ、〜〜〜…!!」

もうだめ、頭が馬鹿になる、おかしくなる、と思った瞬間視界が弾ける。

「…っあ、ぁ…ぁっ、あ…」

びゅるびゅると腹の上に自身の精液が散っていった。

「ごめん…もうちょっと、だから…っ」

忠太は止まってはくれないけれど、俺を労るように、ゆっくりとペニスを出し入れさせる。イってるところをさらに刺激され、俺はもうただただひくひく震えることしかできなかった。

「…っ…!!」

ぶるりと忠太が痙攣して、奥の奥まで腰を押し付けてくる。中に埋まったものがどくどく脈打っているのがわかった。

忠太はしばらくしてからにゅぽんっとそれを引き抜き、付けていたゴムの口を手際よく引き結ぶ。ゴムの先にはたぷたぷと見覚えのある液体が溜まっているのが見えて、俺は恥ずかしくなって目を逸らした。

「タマ」

そんな俺を忠太は優しく抱き起こし、よしよしと子どもにするみたいに頭を撫でてくる。

「平気か?身体、辛くない?」
「ん…」

満ち足りたような幸せな気持ちだ。俺は忠太にしがみついた。

「死んじゃうって思うくらい、気持ちよかった…」
「俺も」

ちゅ、と忠太が汗ばんだ額に口付けてくる。

まるで温かいお風呂に浸かったみたいな心地だ。ふわふわして、ぽかぽかして、とても居心地がいい。

「…ねぇ、忠太」

じんわりと奥から広がる熱が、まだ、燻っている。

「うお、何、どした」
「寝て」
「はいはい」

彼の肩をぐいぐいと押して、その上に乗っかる。そして布団の脇にあったゴムを手に取り、ぴりっと包みを開けた。

「…まだちょっと勃ってる」
「ちょっと何してるんですかねタマさん」

忠太が慌てて俺の手からゴムを取り上げる。

「あっ」
「自分でつけるから、タマはいいの」
「俺がつけたい…」
「ダメです」
「なんで」
「なんでも」
「もう失敗しないから」

前に失敗して穴を開けたことは記憶に新しい。だが忠太は首を振った。

「そういう問題じゃなくてだな」
「じゃあどういう問題だよ」
「タマにそんなことさせたら俺の心臓が死ぬ」
「うそだ。慣れてるくせに」
「そりゃタマよりは長く生きてるから手順は踏めるよ。でもそれだけの違いだ。好きな子とするってだけで、心的にはもういろいろ限界なんだよ」

好きな子。

「…そうなの?」
「そうだよ。初恋みたいにどきどきしてる」
「…はつこい…」

少し考えて、俺は忠太が初恋だよと言うと、忠太は笑ってありがとうと言った。その顔はいつもよりも少しだけ子どもっぽく見えて、なんだか俺までどきどきしてしまった。

「もう一回するんだろ?」
「うん…」

俺たちは今、確かに恋をしている。

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