第一印象まんまです
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と、いうことで。
「よっしゃ、ついたぜ鋼山!」
「
悪の総本山?」
「いや違うだろ」
思わず呟いたあたしに、スイが的確なツッコミを入れてくれる。
や、だってこれ辺り薄暗いし暗雲立ち込めてるしなんか微妙に霧がかかってるし?
「これを悪の総本山と言わずして何という!ってことで帰ろうスイ」
「いやいやちょっと待て」
クルリと踵を返せば、ガシッと掴まれる肩。
ヤダヨ暗イトコロコワイヨー(棒読み)
「ここにディグダがいるんだぞ!?見捨てて帰れるか!」
「その溢れる正義の心をもう少しあたしを労る方向に向けてくれませんか」
とか言いつつ結局行くことに変更はない。何だかんだ言ってもあたしも少しは心配だし。
「つかさ、本当にこんなところにいんの?いや、エアームドはいそうだけど」
「その通りです!」
「「Σわっ!?」」
突然あたしとスイの間の土が盛り上がり、そこから茶色の山が飛び出してくる。スイがあたしを掴んでいた手を離し、驚いて飛び上がった。
「息子のディグダはこの山の頂上にいます!頂上まではひたすら登ってずーっと行けばつきますから!」
いや、ずっと登ってけばそりゃあつくだろ。「よろしくお願いしますッ!では!」
あたしたちの視線に気付かずそれだけ言うと、山ことダグトリオは再び土の中へと潜っていった。
……………。
「…うん」
「……行ってくるか…」
「もうどうにでもなれよコノヤロー」
半ば自暴自棄になりながら、あたし達は鋼山へと踏み込んだ。
つかスイもなんか乗り気じゃなさそうなんだけど。
***
鋼山は、その名の通り鋼タイプがわんさかいる。その他にもアサナンやヤジロン、ビリリダマといった格闘や地面、電気タイプまで様々だ。
そこで、あたしにとって厄介なのが地面・岩といった炎の技に強いタイプ達である。
ボウッ、と口から小さな火の粉が放たれる。ようやく倒したイシツブテに、あたしは深い溜め息をついた。
「…一々めんどくさい…ココドラとかなら問題ないんだけどなぁ……まぁ、地面タイプはスイに任せて……」
「いくぜっ!"噛みつく"!」
…………。
あれ、今なんか聞こえたような?
「気のせ「クソッ、やっぱり手強いな…よしっ、"引っ掻く"!」
………………。
ダダダダダッ!
「アホか貴様ァァァァァァ!!」
「ブハッ!!?」おもいっきり助走をつけてスイに飛び蹴り。蹴りはスイの首に綺麗にクリティカルヒットしたとさ。あ、スイの口から白いの出てきた。
それを華麗にスルーして、あたしはうつ伏せに倒れ込んだスイの背中に片足を乗せてビシィ!と羽を突き付ける。
「貴様の脳は何のためについとんじゃコラァァ!!飾りか!その頭は御飾りか!!?」
「グフ…ッ…」
「何故水タイプでありながら地面に対してその技を使わないの!?何故に一々ノーマル使ってイマイチな効果発揮しとんじゃ我エェェ!!!」
「え!?水って地面に強いのか!?」
「死ね!お前ほんとに死ね!」
帰ったらホントにその頭の中にタイプ相性を徹底的に叩き込む。これは決まった。今決まった。
むしろ文字から教えてやるよ。常識から徹底的に教え込んでやるよ。は?キャラ崩壊?
気にしたら負けよ。
「…とにかく、イシツブテやヤジロンは水系の技に弱いの。だからそれを重点的に攻撃してくれる?」
「おう!わかったぜ!」
あっという間に復活し、意気揚々と野生ポケモンに向かっていくスイ。奴に復活の種は不要だな。
「あ、でもビリリダマとかプラスルは電気タイプだから「うわぁぁぁ!!」
「って言ってるそばからアンタはもおぉぉぉ!!!」
こんなんで救助隊をやりたいなんて言ってたなんて…。
あたしがいなかったらどうするつもりだったんだか。
あたしは溜め息一つつき、プラスルの電気技の餌食になった馬鹿(スイ)を救出しにいった。
コイツ一人だったら確実に無理だったな。救助するどころか救助される側になるよ。
…うん、あり得すぎて笑えない。