トラブルメーカー
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と、いう事で…
強制的に『電磁波の洞窟』まで拉致られたあたし……
し か し !
やってくれたよ。大体予想はついてたけど、本当にやらかしたよこの馬鹿。
危惧してたことが起こったよ。
物凄く心配してたことが起こったよ。
「スイ〜…あたし足元には気を付けろって
あれほど言 っ た よ な ぁ ?」
「す、スイマセンでしたァアァァ!!!!」
ゆらり、と笑ってない目で炎をチラつかせつつ笑顔を向けると、スイが全力で謝罪してきた。あぁ、これが噂に聞く『スライディング土下座』ってヤツか。てかスイ、お前すげぇな。
攻撃避けながら謝り倒すか。ちょっと尊敬するよ。
だが、こんなことになったのはもとはといえばスイが原因なのだ。
スイがあそこで
エレキッドの群れに激突しなければ……!〜回想〜
『スイ〜ちゃんと足元注意しろよぉ〜?』
『大丈夫だって!子供扱いすん……イタッ!?』
『Σちょっ…スイ!?』
『イッテ〜…!』
『……す、スイ……!?』
『ん?どうした、ユウ………』
ビビビビビビビビビビビビビビビィ…
『『エレキッドの大群……!!』』
『…それも……かな〜り、お怒りだ、わ…よ?』
『はは……ユウ、どうしよ……』
『……とにかく
逃げろォ!!』
〜回想終了〜
と、いうわけです。
つか…
最初の頃より明らかに数が増えてますよね、エレキッドさんんんん!!?「スイ!!アンタが蒔いた種でしょ!?何とかしてよ!!」
「種?オレ種なんて蒔いてないぜ?」
「一回死ぬ?」
「何かよくわかんないけどゴメンなさい!!!!」
バカだよこの子。
いやそれは今に始まったことじゃないけど。
…とかいうコントやってる間にも、エレキッド達はあたし達に向かって電撃を放ってくる。あたしとスイはそれを器用に避けながら逃げる。時々反撃しつつ、逃げる逃げる。
「(コレじゃあ救助どころじゃないよなぁ…ったく、しつこいなこの黄色い軍団。でもコイルたち待たせるわけにも行かないし)」
それに、心配なことはもう一つ。
あたしはいいとして、スイは……。
「…しょーがない、スイ!いったんどっかに隠れ……」
不意にスイが、足を止めた。
後ろからは足音が迫ってくる。
「ちょっ…!スイ!?何止まって……」
「………」
「スイ?」
様子がおかしい。どこか嫌な予感を漂わせながら、どうしたの?と訊こうとして、あたしはスイに駆け寄った。
「スイ!!……!?」
スイの体を揺すろうとしたその時、
ドサッ
「………は?」
スイが、あたしに倒れ込んできた。
「は?ちょっと……え」
スイは、気を失っていた。
いや、なんで?なんで気絶してんの?いつの間に?
あたしは慌ててスイの顔を覗きこんだ。
……瀕死ではない。
その事に、あたしはホッとした。
どちらかが瀕死状態になれば、パートナーと共に2匹とも強制的にダンジョンから出される。そんなのはめんどくさいからごめんだね。
と、ふとした拍子にスイの体からビリッと微量の電流が流れた。
たらり、と嫌な汗が流れる。
まさ、か。
「へへん、やーっとくたばったか!」
不意に背後からそんな声が聞こえ、あたしはスイを受け止めたままゆっくりと振り向いた。
その視線は、自分でも驚くほど冷たかった。