トラブルメーカー  [ 7/19 ]




と、いう事で…
強制的に『電磁波の洞窟』まで拉致られたあたし……

し か し !

やってくれたよ。大体予想はついてたけど、本当にやらかしたよこの馬鹿。
危惧してたことが起こったよ。
物凄く心配してたことが起こったよ。



「スイ〜…あたし足元には気を付けろってあれほど言 っ た よ な ぁ ?」

「す、スイマセンでしたァアァァ!!!!」



ゆらり、と笑ってない目で炎をチラつかせつつ笑顔を向けると、スイが全力で謝罪してきた。あぁ、これが噂に聞く『スライディング土下座』ってヤツか。てかスイ、お前すげぇな。
攻撃避けながら謝り倒すか。
ちょっと尊敬するよ。

だが、こんなことになったのはもとはといえばスイが原因なのだ。
スイがあそこでエレキッドの群れに激突しなければ……!







〜回想〜








『スイ〜ちゃんと足元注意しろよぉ〜?』

『大丈夫だって!子供扱いすん……イタッ!?』

『Σちょっ…スイ!?』

『イッテ〜…!』

『……す、スイ……!?』

『ん?どうした、ユウ………』








ビビビビビビビビビビビビビビビィ…








『『エレキッドの大群……!!』』

『…それも……かな〜り、お怒りだ、わ…よ?』

『はは……ユウ、どうしよ……』

『……とにかく

















逃げろォ!!









〜回想終了〜
















と、いうわけです。





つか…













最初の頃より明らかに数が増えてますよね、エレキッドさんんんん!!?



「スイ!!アンタが蒔いた種でしょ!?何とかしてよ!!」

「種?オレ種なんて蒔いてないぜ?」

「一回死ぬ?」

「何かよくわかんないけどゴメンなさい!!!!」


バカだよこの子。
いやそれは今に始まったことじゃないけど。

…とかいうコントやってる間にも、エレキッド達はあたし達に向かって電撃を放ってくる。あたしとスイはそれを器用に避けながら逃げる。時々反撃しつつ、逃げる逃げる。



「(コレじゃあ救助どころじゃないよなぁ…ったく、しつこいなこの黄色い軍団。でもコイルたち待たせるわけにも行かないし)」



それに、心配なことはもう一つ。
あたしはいいとして、スイは……。



「…しょーがない、スイ!いったんどっかに隠れ……」



不意にスイが、足を止めた。
後ろからは足音が迫ってくる。



「ちょっ…!スイ!?何止まって……」

「………」

「スイ?」



様子がおかしい。どこか嫌な予感を漂わせながら、どうしたの?と訊こうとして、あたしはスイに駆け寄った。



「スイ!!……!?」



スイの体を揺すろうとしたその時、



ドサッ



「………は?」



スイが、あたしに倒れ込んできた。



「は?ちょっと……え」



スイは、気を失っていた。
いや、なんで?なんで気絶してんの?いつの間に?
あたしは慌ててスイの顔を覗きこんだ。

……瀕死ではない。

その事に、あたしはホッとした。
どちらかが瀕死状態になれば、パートナーと共に2匹とも強制的にダンジョンから出される。そんなのはめんどくさいからごめんだね。


と、ふとした拍子にスイの体からビリッと微量の電流が流れた。
たらり、と嫌な汗が流れる。

まさ、か。



「へへん、やーっとくたばったか!」



不意に背後からそんな声が聞こえ、あたしはスイを受け止めたままゆっくりと振り向いた。

その視線は、自分でも驚くほど冷たかった。



 

  









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