依頼が来た!  [ 6/19 ]





「なぁ、スイ…」

「な、何だよっ!!」

「死んだらあたし、天国逝けるかなぁ♪あ、地獄かなぁ?」

「しっかりしてくれユウ――――――っっっ!!」



がっくがっくと肩を揺さぶられても、あたしはあはははははと狂ったように乾いた笑顔で笑うだけ。スイの顔色が真っ青だ。いや元から青いけど。

みなさんどーも、結構その場のノリで救助隊を結成しました…チーム・スカイです。

突然ですがあたしたち……。



エレキッドの大群に襲われてます。



「他所モンや他所モンやー!!」

「久々に腕がなるでー!!」

「出入りや出入りやああああ!!!」

うっせええええええええええ!!!!!



なんだこのお祭騒ぎ。
炎片手にあたしは半狂乱になりながらエレキッドの群れへとつっこんだ。

さかのぼること数時間前の事でした………。



***



『…依頼が来てない?』

『まぁ、作ったばっかりだし…しょうがないよな!!』



朝起きて、家の前で眠っていたスイを起こすと、苦笑しながらそう言われた。



『てかスイ、いつからいたの?』

『明け方!!』



コイツは絶対にいつもは寝坊の遅刻魔なのに遠足やら運動会の日は誰よりも早く集合場所に来るタイプだ。
あたしは一瞬でニッコリ笑うスイというポケモンを理解した気がした。



『…じゃあ、今日は仕事なし?ま、あたしとしてはそれでもいいけど』

『え!?なんでだよ?』



その質問に、あたしはスイからついと視線を逸らし、




『メンドイじゃん』

ええええエェェえ!!?

『うるさい』



バキィッ!!



『ふぐうっ!!!?』



あたしのすさまじい蹴りにより、スイ戦闘不能。ま、軽くこんなもんよ。
あたしが足を振ってスイの血をはらっていると、上からバサッバサッと羽ばたく音みたいなのが聞こえてきた。
不思議に思って上を見上げると、あらビックリ。



『太ったペリカン?』

『いや、違いますよ。ワタシはペリッパーと申します。
…失礼ですが、ここは新しく救助隊を組まれた、チーム・スカイでよろしいですか?』

『(何故知ってる) 』



太ったペリカン、もといペリッパーはそう言ってポストの上に着地した。
なかなか真面目なタイプらしい。



『はい、そうですが…なんですか?』

『お届けモノですよ、かわいらしいお嬢さん♪』



前言撤回。
ナンパ的な性格でした。

あたしが内心ドン引きしていると、ペリッパーはあたしに向かって大きな口をあんぐりとあけた。




『チーム・スカイに依頼ですよ』

『依頼!!?』

『うおっ!?』




依頼と聞いて、今まで戦闘不能状態に陥っていたスイがガバリと起き上がった。
ちょ、いきなり起きるな馬鹿者。結構ビビッたじゃんか、スイごときに。
あれ、日本語変?



『どれどれ!?』

『こちらです』



その声に我に返ると、スイがキラキラした目でペリッパーから白い封筒を受け取っていた。



『それじゃ、ワタシは他にも配達がありますので失礼しますね』

『うん!ご苦労様!!』

『いえいえ。あ、お嬢さん!!』



ペリッパーはニコニコ笑いながらふわりと空中に飛び立ち、そのまま飛び去ろうとして、あたしに目を留めた。



『今度一緒にお茶しませんか?』

『『しません』』




あれ、スイと声ハモったよ?
ペリッパーは爽やかな笑い声を響かせて飛び去っていった。
ああ、なかなか手ごわいタイプだな彼は。



『ったく…アイツは相変わらずだな』

『いつもあんなんなの…?』

『おう…ユウも注意しろよ?あいつ軽いって有名だから』

『マジか…。まあ、あたし男にゃ興味ないからいいや』

『(…それでいいのか)あ、そうそう依頼!!ユウ、読んでみろよ!!』



そう言って、スイはあたしに先程もらった封筒を満面の笑みで差し出した。



『…スイが読めばいいのに』

『いや、ここのリーダーはユウなんだし、ここはやっぱリーダーが!!!』



いつあたしがリーダーになったんだろう。
にっこり笑って言うスイから封筒を受け取り、あたしは中身を取り出そうとして、ふと手を止めた。









『…………もしかしてスイ、字が読めないとか?』






































































『…………………………………え…えへ?』

『え、図星!!?』

『…ま、まぁ、それはおいとこうぜ?』



いや、おいといちゃダメだろ。
あたしは内心でスイに文字を教えることを決意して、封筒から手紙を取り出した。




《ビビビ!キミタチノコトハアイバチャンカラキイタ。

タノム、タスケテクレ。
ナカマガピンチナノダ。

ドウクツニフシギナデンパガナガレタヒョウシニ・・・

コイルトコイルガクッツイテシマッタノダ。

レアコイルトシテイキテイクニシテモイッピキタリナイシ、コノママデハチュウトハンパダ。

オネガイダ、タスケテクレ

〜コイルノナカマヨリ〜》




『…だってさ』

『どうする?行くか?』

『ヤダ』

『チョットぉ!?』



目を輝かせて言ったスイを尻目に、あたしは深い溜め息を吐いた。



『な、なんでだよ!?初めての依頼だぜ?行こうよ!!』

『え?メンドくない?』

『お前何のために救助隊始めたわけ!?』

『……………………………さぁ?』



だってメンドイじゃん。
つか、『アイバ』って誰だ?
疑問に思ったあたしは、なにやらブツブツ呟いているスイに目を向けた。



『なぁスイ?『アイバ』って誰?』

ちょっと思ってたけど、やっぱ夕日には根気って言うかヤル気が足りないよなぁ…まぁソレが夕日なんだろうしコレばっかりはしょうがないのかも…でもリーダーとしては……………あ?何?』

とりあえずお前後で面貸せ。
《アイバ》って誰かわかる?』

『(やば、聞かれてた!)……さ、さぁ?』

『あんたも知らないの…?』

『しょ、しょうがねえだろ!知らねーものは知らねーんだから!!』

『まあ、それもそうか』

『納得しちゃった!?』



え、納得しちゃいけなかったの?
そんな目でスイを見ると、スイは大げさに溜め息をついた。



『………まぁいいや。とにかく救助行こうぜ!』

『え、ちょっとスイさん?あたしの話聞いてましたか?行くなら一人で』

『レッツゴー♪』

人の話はちゃんと聞けェェェェェ!!



てか、またこのパターンですか。そうですか。
そのうちコレが定着化してきそうで怖いです。





  









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