音色と共に


青空の下、今日も汽笛の音が鳴り響きます。
お城の窓から外を見て、汽笛を鳴らした汽車を見つめました。

聞き慣れたこの汽笛の音。
少し前まではすぐ近くで聞いていたのに、何だかもうずっと前の事のように思えます。
本を読んだり、景色を見たり、何をしていてもよく思い出すのは、魂にされたあの状態での、彼との旅の事。

大きな勇気を彼は…リンクは持っていました。
私の…いえ、世界のため、神の汽車に乗って、私はリンクと共に色々な所へ赴きました。
所所で危険な事がたくさんあり、けれど楽しい事もあって。
その事を思い出す度、自然と私は微笑んでいました。
楽しかった、そう思いながら。

リンク、きっとあなたは今、汽車に乗ってあの旅の時のようにあちこちへと赴いて、危険が迫れば剣を手に戦い、人々を守ったり助けたりしているのではないでしょうか。
あの旅の時、私がした質問での答えはわからない、だったけれど…リンクならそうしている、そんな気がするんです。

リンク、もうひとつ、質問しておけばよかったと思う事があるんです。

“旅が無事に終わった後、いつかまた会えますか?”

ふと、扉を軽く叩き開ける音と懐かしく思う音色が聞こえました。
この音は、そう…大地の笛。
私の大切にしていた宝物、旅が終わった後、リンクに持っていてほしいと渡したはずのあの笛の音色。

私はゆっくりと振り向きました。
そこに立っていた者は、しておきたかった質問の答えその者。
彼は私の所へと歩み寄り、笑顔を見せて私に大地の笛を差し出してくれました。
私は微笑んで大事にそれを受け取り、感謝の気持ちを込めて大地の笛を吹くのでした。

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