森の木の上にて
「ファイ」
「イエス、マスター、お呼びでしょうか?」
ここはフィローネの森の木の上。
マスターリンクに呼ばれ、ファイは返事をします。
現在の目的でしょうか。
アドバイス、いえ、現状分析でしょうか。
マスターの返答を待ちましたが、マスターの発言はファイが思った事に当てはまらないものでした。
「ちょっと出てきてくれないかな?」
イエス、そう返答を返し、ファイは剣から外へと出ます。
「マスターリンク、どうしましたか?」
「見てみてよ、ここからの景色」
マスターはファイを見てそう発言します。
マスターが見た方向をファイは見ました。
様々な植物や木々が見え、このフィローネの森の様子が把握出来ます。
下からこちらへと手を振る者は、マスターがこの森へと初めて降り最初に出会ったキュイ族、マチャーである確率95%。
マスターはその場に座り、マチャーへと手を振り返しました。
「スカイロフトからの景色もよかったけど、ここからの景色もいいなって思って」
マスターは景色を見ながら発言をします。
そうした後、ファイを見ました。
「あの日、ゼルダがこの大地の事を話してくれたんだ。下の世界の事は考えた事もなかった」
そう言い終えると同時に、心地の良い風が吹き、マスターの帽子、髪などが揺れます。
ファイは次のマスターの言葉を待ちました。
「大地は、すごく綺麗な所だった。素晴らしいと思った。ファイは、僕をこの大地へ導いてくれた」
「イエス」
「ありがとう、ファイ。僕を導いてくれて」
笑顔。
マスターはファイにそれを見せ、そう言いました。
マスターを導いたのは、女神様からの勤めであるため。
ファイはそのためだけに創られた存在です。
最初は、それだけでした。
けれど、今…いえ、いつからか理由がそれだけではないような気がしてきています。
では他にある理由が何なのか…ファイには理解不能です。
マスターへの返答。
女神様からの勤めに過ぎないと、そう伝えようかと思いましたが…。
「イエス、マスター」
ファイが伝えたのはこの一言のみでした。
マスターリンクは再び笑顔をファイに見せ、景色を見て発言します。
「ファイ、休憩していこうか」
「イエス」
そうしてファイは、剣に戻らぬままマスターと共にフィローネの森の景色を眺めておりました。
その新たな記録を、ファイは重要なものとして記憶するのでした。
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