【元同級生、現社会人設定】

お相手は銀さんで社会人設定。
麻衣ちゃんと銀さんは高校時代の同級生。
と、言っても高校時代には二人にそれほどの接点は無し。
3年生の時に一緒のクラスにはなったけれど、麻衣ちゃんはおとなしめの女の子。
面倒臭がりだけどなんだかんだでクラスの中心にいた銀さんとは付き合う人間の種類が違います。
銀さんの周りはいつも賑やかワイワイ。
それに比べて麻衣ちゃんはその輪から離れた所で友達とその様子を見ている感じ。
別に仲が悪いわけでは無いけど、ほんと接点が無い。
麻衣ちゃんからすれば、どう近寄ればいいかわからない感じ。
だから特別な用が無い限りは自分からは話しかけられませんでした。

でも麻衣ちゃんは銀さんが好き、凄く好き。

普段はまったくやる気無さそうなのに、ここぞという時はビシッと決めるところがカッコイイ。
なのに甘いもの大好きで、「銀さんの9割は糖分で出来てるから」とか真顔で言っちゃうところも可愛く見えてくるしまつ・・・
でも好きになった切欠は、麻衣ちゃんが困ってる時にさり気無く助けてくれたこと。
それまでほとんど話したことも無かったのに、麻衣ちゃんが一人困っていたら軽口交えながら手伝ってくれて「坂田君っていい人なんだなぁ・・・」って思ったのが最初。
そしてそれからも何だかんだで面倒見のいい銀さんには、大量のノートを運ぶのを手伝ってもらったりとか資料探しを一緒にしてもらったりとか何かあるごとに助けてもらったりして気付けば目で追うようになっていたとかね。
でも普段はやっぱり自分からは話しかけられない。
銀さんも特別話しかけてこない。
挨拶され、それに返す事はあってもそこからが続かない。
でも一人で困ってる時には何故か気付いて手を貸してくれる。
麻衣ちゃんにとってはちょっとしたヒーローみたい。
でも大好きなのに、近づけない・・・
銀さんの周りはいっつも賑やかで輝いてて、自分がそこに入っていける気がしない。
そして結局最後まで自分の気持ちを伝えるどころか話しかける勇気も持てずに高校を卒業・・・





はい、そんな高校時代から時は経ち麻衣ちゃん達は20歳に!
「20歳になったら堂々と酒飲める、っつーことで皆が20歳になったら同窓会しようぜっ!!!」て卒業式後に誰かが騒いでた通り、卒業生が全員20歳になっており比較的集まりやすそうなGWに同窓会をしようと案内状が届きます。
高校卒業後、特に夢も無かった麻衣ちゃんは無難な中小企業へ就職。
そのため高校の時の同級生には卒業後ほとんど会った事がありません。
仲の良かった友達は県外の学校へ進学していて、同窓会どうするか聞いてみればGW中はすでにこっちでバイト入れてるから無理と返答が・・・
その友達が行かないなら特に話す相手もいないし私も行くのやめようかな、と悩む麻衣ちゃん。
「・・・でも、もしかすると坂田君に会えるかもしれないし」って想いが捨てきれず、結局同窓会に行く事に・・・

しかしいざ当日会場の傍まで来てみるとドキドキ。
「坂田君もう来てるかな?一目だけでも見たいな」って想いと、「・・・私の事なんてもう覚えてないよね」って不安が湧き上がってきます。
しかもどんどん会場に近付くたびに不安の方が大きくなります。
会場であるお店が見えた所で自然と足が止まり、なかなかそれ以上先に進むことが出来ません。
その間にもお店に入って行くたぶん同級生であろう子達は麻衣ちゃんから見るとすごく大人っぽくて綺麗に見えます。
仲の良かった友達はバイトでいないうえに、坂田君があんな綺麗な子達に囲まれてるのを見るのかなって思うとやっぱり自分じゃ近づけない人なんだって惨めな想いになりそうで怖くて不安。

(・・・あぁ、やっぱり来なかったらよかったな)

思えば高校の時から坂田君モテてたし・・・
本人には自覚無かったみたいだけど、一緒に居た高杉君と桂君と坂本君の4人でよく女の子の話題に上がってたし・・・
うん、きっともう彼女いるよ
だって坂田君カッコイイもん
もしかすると結婚とかもうしちゃってたりするのかな?
だったら・・・・・やっぱり会いたくないな・・・

はい、段々とネガティブ思考に陥っていく麻衣ちゃん。
やっぱり今日はこのまま帰ろうと、元来た道へ戻ろうとします。
するとその時、後ろから突然かかる声・・・


「何?聖莉さんもう帰んの?」

「えっ?」


声をかけられた事に驚いて振り向くと、そこにはあれだけ会いたいと思っていた銀さんの姿。
突然の事に麻衣ちゃん半ば放心気味です。
「あっ私の事覚えてくれてたんだ」とか、「坂田君、高校の頃とあんまり変わってないなぁ」とか内心では色々思ってるけど傍から見ると完全に固まってる麻衣ちゃん。
そんな麻衣ちゃんの様子に銀さんは首を傾げます。


「あれ?これってもしかして俺の事分かってないとか?
いやいやあれだよ?
別に変質者とかじゃないからね俺!

「えっ?あっごめんなさい、坂田君だよね?
急だったからビックリしちゃって・・・」

「いやいや銀さんの方がビックリだから。
もしかして叫ばれちゃうのかと思ってダッシュで逃げる準備するところだったでしょ

「ごっごめんなさい」


久しぶりに会った銀さんは、見た目も中身も変わってないみたいでとりあえず麻衣ちゃんは安心。
でも何より自分を覚えてくれてた事と、話しかけてもらえた事が嬉しくて仕方がありません。
思わず笑顔になっちゃう麻衣ちゃんですが、銀さんは当初の疑問を投げかけてきます。


「で、どーしたのよ?
もしかしてもう帰っちゃうわけ?」

「あっ・・・・・うん。
友達もバイトで今日来れないみたいだから・・・」


せっかくだからもう少し銀さんと話していたい気もする麻衣ちゃんだけど、あの会場に入ったらきっと銀さんはすぐに他の子に囲まれるのは分かりきってます。
元々一目でいいから銀さんを見たいって想いで来たわけだし、悲しい想いをする前に帰ろうと思う麻衣ちゃん。
そんな麻衣ちゃんに銀さんは思わぬ言葉を続けます。


「ならよ、今から俺とどっか飲みに行かね?」

「・・・・・・・えっ?」

「せっかく同窓会に来たってのに、元同級生と全く交流せずに帰るってのはいかんでしょ。
どうせ今から帰るだけなら、銀さんと一緒に飯でも食いに行きませんかって言ってるんですー」

「えっ?えっ?でっでも坂田君は同窓会行かなくていいの?」

「あぁ、いい、いい!どうせめんどクセェだけだしよぉ・・・」


ガリガリと頭掻いちゃって、本当に面倒そうな銀さん。
でも麻衣ちゃんにとっては本当に嬉し過ぎるお誘いです。
本当に迷惑じゃないなら・・・って事で結局麻衣ちゃんは銀さんオススメの店が近くにあるからと一緒にそこに行く事へ・・・





「じゃーまぁ、久しぶりの再会に乾杯っつーことで」


そんな言葉で始まった銀さんとの食事。
高校の頃の話をし始めて早々、「なーんか『坂田君』って呼び方硬いよな〜。俺も聖莉さんの事『麻衣ちゃん』って呼ぶからよ、俺の事も『銀さん』って呼んでよ」っていう銀さんの言葉により呼び方が変わったりと麻衣ちゃんにとっては始終幸せ気分。
その上アルコール度数は低いけどカクテル飲んでるせいか、だんだんと言葉もスラスラと出てくるようになります。


「えっ?万事屋?」

「そっ、万事屋。俺今そこの社長してんの。
ほら、同じクラスだった志村妙っていんだろ?
あれの弟とそれと同い年でもう一人神楽っつー奴の3人でな」

「お妙さんの弟って・・・確か一つ下だったっけ?
でも社長さんって銀さん凄いね。
私なんてただの事務だよ」

「あ〜〜〜そっか。
麻衣ちゃんって進学しなかったんだっけか?
・・・もしかして今県外に住んでるとか?」

「ううん、そんな遠くじゃないよ。
県内に絞って就職先探したから・・・
でも一応家は出てるんだけどね」

「は?なんでまたわざわざ?」

「うーん、やっぱり会社に近い方がラクだから・・・
それとうちのお姉ちゃんも就職する時に家出たから私の時も自然とそういう流れにね」

「は〜そりゃまた大変だったな。
俺も今一人だけどよ、洗濯物とかすぐ溜まっちまってよぉ・・・」

「ふふっ、銀さん洗濯とか掃除とか面倒がってあんまりしないんでしょ?」

「だぁってよぉ〜疲れてっと何もする気起きねーだろ。
・・・してくれる奴がいればいいんだけどよぉ」

「・・・・・銀さん、そういう事してくる・・・かっ彼女さんとか、いないの?」

「彼女ぉ?
おいおい、銀さんにそんな子がいるように見えますかぁ?
そういう麻衣ちゃんはどーなのよ?」

「私?!わっ私は、私もそんな相手いないよ・・・」


とりあえず銀さんに彼女がいないと分かって安堵する麻衣ちゃん。
それから近状やくだらない話をしているうちに、あっという間に時間は経ちます。
ふと気付けば、普段ならとっくに家に帰ってお風呂にも入ってる時間帯。
もうこんな時間なんだと驚く麻衣ちゃんの様子に、そろそろ終わりにすっかと言う銀さん。
あぁもう銀さんとお別れなんだと少し残念に思いながらも、いつまでもこの時間が続くわけじゃないと頷く麻衣ちゃん。
二人は会計を済ませると、揃ってお店を出ます。
でも麻衣ちゃんが今日のお礼を言って帰ろうとすると「ちょい待ちっ!」と止めて口を開く銀さん。


「家どこだ?」

「えっ?」

「もーこんな時間だしよぉー。
女の子の一人歩きは危険でしょーが。
銀さんが責任持ってちゃんと送り届けてやるから」

「えぇっ?!べっ別にいいよ。私なら大丈夫だから」

「はいっ、何を根拠に大丈夫なのかが全然分からないので却下!」

「えぇーーー?!」


何だかんだで銀さんが自分の事を心配して言ってくれているのは嬉しいし、何よりもう少し銀さんと一緒にいれるんだと思うと結局家まで送ってもらうことに・・・
でももう少しで家に着くって所で降りだす小雨。
確かに夜中から雨とは天気予報では言っていたけど、さすがにそんな時間には家に帰っているだろうと思って持って来なかった傘。
しかたなく小走りで家に向かえば少し濡れた程度でほっといても乾くくらいですんだ。
それでも送ってもらったせいだからと、ドアを開けて口を開く麻衣ちゃん。


「上がって銀さん。タオル貸すから」

「・・・・・いいのか?」

「うん、風邪ひいちゃったらいけないから・・・
タオルと、あと傘も使って?
確か前に買ったビニール傘があったと思うから」

「ふーーん・・・じゃあ、まぁ、お邪魔しますっと」


で、家に上がってもらってタオルとか準備しようとしてたら、突然後ろから抱きしめられちゃうんだよ。


(・・・えっ?えっ?な、何?!)


急な出来事に完全に思考停止状態の麻衣ちゃん。
そんな麻衣ちゃんを抱きしめたまま耳元で囁く銀さん。


「あのなぁー、麻衣ちゃん?
年頃の女の子が一人暮らししてるなら、こんな時間に簡単に男を家にあげちゃダメでしょーが」


「・・・喰われたって文句言えねーよ、これ」なんて言葉が続けば、もう麻衣ちゃん心臓バクバクです。
体固まって、思考も全然回らなくて言葉が出てきません。
妙に部屋の中が静かに感じられて、時計の針の音とか聞こえてきそうなくらいです。
そんなに静かなもんだから、銀さんの呼吸まで感じられてもう頭クラクラ状態です。
それでも、ギュッて目を瞑って震えそうになる声で答える麻衣ちゃん。


「ぎっ銀さん、だから・・・」

「はっ?」

「わっ私・・・銀さんだから・・・・・
ぎっ銀さん以外の人だったら私、そもそもこんな時間まで、一緒にいたりしない」


はい、たぶん一生懸命理性繋ぎ止めようとしてた銀さんもこの辺で限界を超えちゃうと思います。





実は銀さんも高校の頃から麻衣ちゃんの事が好き。
そもそも面倒臭がりな銀さんがどうでもいい奴の手伝いを毎度自ら進んでするはずがない。
わざわざ目で追って、困ってるなら即行手を貸しに行くぐらいには麻衣ちゃんの事が好き、大好き状態だった銀さん。
でもいっくら手伝ってアピールとかしてみても、それ以外の時の会話はほぼ0。
無難な挨拶から入ってみても、そこから会話が続いたためしがない。
「あれ?これって銀さん完璧眼中に無い感じ?」とか凹む日々を送っていたとか・・・
そんなこんなで結局麻衣ちゃんに自分の想いを告げる事無く卒業を迎えてしまった銀さん。

でもそっから物凄く後悔。
大後悔の日々の始まり。
高校時代は会話は無くてもこっそりと目で追って、麻衣ちゃんの様子とか表情とか見てささやかに自分を満足させてたのにそれももう無し。
「あれ?何これ禁断症状?」とか思っちゃうくらいには麻衣ちゃんが恋しくて仕方がなくなります。
時間が解決してくれるかと思えば、逆に時が経つごとに想いは膨らむばかり・・・
「あーーーヤバイよ、これヤバイ。このままじゃ銀さん犯罪者になっちゃうからね、いやマジで!」とかとうとう限界点越えそうなギリギリの時に届いた同窓会のお知らせ。
それまで銀さんが脳内で巡らせていたどの再会シミュレーションより無理も問題も犯罪臭さも無いその機会はまさにチャンスです!

しかしいざ意気揚々と会場へと向かえば、目に見えたのは帰ろうとしている麻衣ちゃんの姿。
再会早々恋人にはなれなくとも最悪でも連絡先はGETしたかった銀さんは内心慌てつつも、何食わぬ顔で麻衣ちゃんに話しかけ足止め。
んで状況を把握した瞬間、「これって逆に二人っきりになれるチャンスじゃねっ?!」って事で食事のお誘い。
了承もらってから、即座に近くで一番邪魔の入らなさそうな店を脳内検索してそこへ案内・・・
んでまずは距離を感じていた呼び方から改めて、その後さり気無く恋人の有無を確認。
高校の頃と違って続く会話。
楽しそうな麻衣ちゃんの姿に「これってもしかして脈有りじゃね?」とか思ったり・・・
しかも時間が経つに連れて「なんかもう今日このまま帰すのって間違ってる気がするんですけどぉ」とか思っちゃうくらいには変な感じで酔いも回ります。
あわよくば、なんて下心隠しつつそれっぽい理由を付けて家まで送る事にした銀さん。


(いやいやいや、いくらなんでもいきなりはダメだから!
酔った勢いでもして良い事と悪い事があるから!
・・・あれ?そういう判断が出来なくなるっつーのがそもそも酔ってるってことじゃね?
・・・・・いやいやだから、そこはもっと慎重にいくべきでしょ!
ここで失敗したらあれだよ?
もう二度と笑いかけてもらえなくなるからねこれ!


そんな感じで道中悶々する銀さん。
とりあえず今日のところは、麻衣ちゃんがどこに住んでるのかだけ確認して帰ろう。連絡先と住んでる所知っとけば、後は偶然装っていくらでもと何とかなるだろと脳内会議で決まったのに、降りだしてきてしまった小雨。
さらにあれだけダメだと思っていたのに、麻衣ちゃんの方から家に上がってとか言う状況に・・・
何これもう銀さん誘われてんじゃねーの?とか思ったり思わなかったり・・・
で、結局一瞬理性が負けて後ろから抱きしめちゃったけど、そこはそれ。
いちおう成人式も済まして大人としての責任とか立場とか、ぶっちゃけ犯罪者になったらテレビで名前も顔もオープンな事を思い出して踏み止まる銀さん。
でも踏み止まるだけで体は正直と言うか、抱きしめたまま動けない。
何これ柔らかくって良い匂いとかすんですけどーとか現実逃避しそうになりながらも必死に自分の中の欲望と戦う銀さん。


(いやいや、さすがにこのまま押し倒しちゃマズイでしょ!
第一あれだよ?麻衣ちゃんの意思とかちゃんと尊重しなくちゃダメでしょ!
せめてソファーじゃなくてベッドまで・・・って違うから!断じて違うからそれ!!!
問題なのは麻衣ちゃんの俺に対する気持ちだから!!!)


はい、そんな圧倒的理性不利な脳内状況の銀さんの耳に届いた「銀さんだからこんな時間まで一緒にいた」的な麻衣ちゃんの言葉。
「えっ?!何それ、銀さんすっげー自分の都合の良いように解釈しちゃうけどいいのっ?!」って事で、そこからどうにか恥かしがりやの麻衣ちゃんから気持ち聞きだして、銀さんも自分の想いを伝えて・・・
かなり時間はかかったけれど、ようやく高校の頃からお互い実は両想いだったんだって分かった銀さんと麻衣ちゃん。
こんな事ならさっさと告るんだったと若干後悔する銀さんと、恥かしがりながらも嬉しがる麻衣ちゃん。
たぶんこの二人、それからは周りが呆れるほどのバカップルになると思う。
いや、バカップルと言うか銀さんの麻衣ちゃんに対する構い具合が大変。
手始めに麻衣ちゃんは万事屋に転職すると思う。
理由、いっつも一緒にいたいから。
んで次に麻衣ちゃんは銀さんと同棲すると思う。
理由、可愛い銀さんの麻衣ちゃんが一人で住むとか心配で夜も眠れないから。
そんな感じで周りを盛大に呆れさせつつ、中にはちょっと麻衣ちゃんに同情しつつも当人達がいいならいいかと最終的にはちょっと投げ出されるような感じで見守られて過ごす二人。

そんな二人は、「銀婚式を前提に結婚して下さい」っていう銀さんのプロポーズで結婚するんだと思います、まる。あれ?これ作文?・・・って感じで終わればいいと思う(おいおい・・・)



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