どんまい、サスケ! 5

「静かにしやがれ!どぐされヤローどもが!!」


そんな怒声と共に登場したのは第一試験官の森乃イビキだった。
志願書と交換に座席番号の札が配られる。
そして、ついに中忍選抜第一の試験が開始された・・・

目の前には真っ白な答案用紙。
そう、第一の試験は筆記試験だ。
ただしただの筆記試験ではなく、いくつかのルールがある。

1つ目のルール、各自10点ずつの持ち点があり10問格1点の減点方式とすること。
2つ目のルール、三人一組の合計点数で合否を判断すること。
3つ目のルール、カンニング1回につき2点の減点とすること。
4つ目のルール、試験終了時までに持ち点を全て失った者及び正解数0だった者の所属する班は3名全て道連れ不合格とすること。

・・・・2つ目と4つ目のルールが説明された瞬間、背筋を駆け上るような殺気を感じた。
たぶん、いや絶対に気のせいではない。

なんて事だ・・・
まずは筆記試験かと安堵していたが、まさかの第一試験から死亡フラグだ。
試験時間は1時間。
下手をすれば残りの俺の寿命がイコールになってしまう。
・・・・待てっ!落ち着け俺!!!

解 け ば い い ん だ

そうだ、解けばいい・・・
問題を読む、そして解答を導き出し解答用紙に記入する。
そうだ、たったそれだけで俺の寿命は長らえる!!!
俺は一度大きく深呼吸をして、速まった動悸を何とか抑えてから問題へと目を通した。

・・・・・・フン、フフ・・・成る程ね・・・・


と う と う 神 は 俺 を 見 放 し た


こんなの1問たりともわからねぇ!
どうする?!
そもそもこんな難問を解ける奴がいるのか?!
・・・・あぁ、いるな!ナルとナルトなら解けるんだろーな、どうせ!!!
だが俺にはナルやナルトのような記憶力も知識も無い!
凡人なんだよ、凡骨なんだ!!!
思わず頭を抱えて俯いた。
その瞬間・・・

ヒュンッヒュンッヒュンッヒュンッヒュンッ・・・


ク ナ イ を 回 す 音 が 聞 こ え る

後方。
間違いなくナルの座っている席の方からだ。
試験中じゃなくても怖くて振り向けねぇ・・・

ヤバイヤバイヤバイ!!!

一問も解けなければあのクナイは間違いなく俺の脳天を貫くだろう。
これは予想じゃない!確信だ!!!
どうにかしなければ、どうにか・・・

・・・・・・・・カンニング、するか?

いや、カンニングした事がバレれば事態はさらに悪化する。
最悪その時点で俺の生涯は呆気なく幕を閉じるだろう・・・
何だこれは、信じられないほどのプレッシャーだ。
こんな状況で1時間もいたら気が触れる。

どうするどうするどうする・・・

頭を抱える手に力を入れ、そのまま髪を握り締める。


力 が 、 欲 し い


せめて己の命を守れるくらい・・・
もしくはこの状況からどうにか脱するくらいの力が・・・
平穏で、平和な毎日が築けるほどの力が欲しい


「っ・・・・・」


突然何かが開けたような感覚に襲われた。
気付けば解答を記入する斜め前の男の動きが見える。
その動きを視認する事が出来た。
動きを、コピーする事が出来たんだ。
目が、熱い。
だが今は何よりも・・・・


解 答 を 書 き 写 せ


淀みなく動く俺の手。
埋まる答案用紙。
遠のく命の危機。
気づけばクナイを回す音も聞こえなくなっていた。
念には念を入れ、それから4、5人の解答も書き写して確かめる。


完 璧 だ


だがまだ安心するには早い。
俺は学んだんだ。
油断は死を招く。
残り1問、最後の10問目を解くまでこの張り詰めた緊張感を解く事は出来ない。
10問目は試験開始後45分経過してから出題されるらしい。
そしてまさに今がその時だ。

試験管の説明が始まった。
だがその内容は俺には全く関係の無いものだった。
絶望的なルールを追加すると言い出したから何だと身構えたが・・・
ようは、10問目の試験を『受ける』か『受けない』かを選ぶというものだ。
『受ける』を選び正解できなかった場合は、今後永久に中忍試験の受験資格を剥奪。
『受けない』を選べば、その時点で同班の2名も道連れで失格。

なら俺には『受ける』という選択肢しか用意されていないのと同じだ。

例え『受ける』を選択し間違ったとしても、俺が一生下忍という事が決定するだけだ。
しかし『受けない』を選択すれば、間違いなくその時点で俺の一生は終わりを告げる。
それなら誰だって迷わず『受ける』を選択するだろう!

しかし『受けない』を選択して出て行く奴らが増える。
その様子を横目で見ながら思わずフッと笑みが浮かぶ。

いいよな、お前らはお気楽でよ・・・

さぁ、御託はもう沢山だ。
さっさと肝心の10問目を言いやがれ!
どんな問題だろうとしっかりと書き写してやるからよ!!!
しかしそう意気込んだ俺の耳に届いたのは、試験管の「この場に残った全員に合格を言い渡す」という言葉だった・・・

・・・・・・・何だ、何が起こった?
呆然とする俺は、第二の試験管が窓を突き破って現れても微動だに出来なかった。
その後、俺の写輪眼が開眼したとちゃんと認識出来たのは、現状を把握し命の危機は去ったのだと安堵の息を吐けた時だった・・・


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