朝、伝う暖かさに


柔らかい感触が髪を撫でる。


浮上しかけた意識がフワフワと揺らめく。


そのあまりの心地良さにずっと身を任せていたとさえ思えてくる。


しかし瞼に感じる光は明るく、いつも起きる時間を過ぎている事が分かった。




意識の再浮上。


少しずつ、ゆっくりと回り始めた脳が今の状態を知らせ始める。


身動ぎ、温かさ、隣に人がいる気配。


目を開けなくても、誰なのかは分かりきっていた。



昨日の夜からずっと隣にいる存在。


まどろみの中、甘えるように手を伸ばせば優しく引き寄せられた。


そして頭へと軽くキスを落とされ、優しい声が降ってくる。







「起きたのか?」




「ん・・・おはよ」






愛おしい声にギュッと自分からも腕を回して答えた。


温かさ、伝わってくる鼓動・・・


私達の距離の近さを示しているようで嬉しかった。






「まだ寝ぼけてんのか?」






苦笑と共にそう声をかけられた。


確かに未だ意識はハッキリとしていない。


けれど今はそれでいいと思えた。



この温かさの正体が誰で、私がその人の事をどれだけ愛し、その人に私はどれだけ愛されているのかさえ分かっていれば幸せだもの・・・


しかしどうやら相手はそれだけでは不服らしい。






「マイ・・・」






耳元に唇を寄せられて囁かれた。


その声に秘められた想いを感じ取って、ゆっくりと顔を上げる。


視線が絡んで、満足そうに笑みを浮べるエド。


私もつられるように笑みをこぼした。






「誕生日おめでと」




「・・・ありがとう」






どこか気恥ずかしくて、再び目の前の胸へと額を預ける。


他の人には1年の内のたった1日だとしても・・・


私にとってはこの世に生まれてこれた日。


そしてエドにとってもまた特別な日だと思ってくれているらしい。



その事が何よりも嬉しくて、堪らなく幸せだと思える。


私が生まれた日を祝ってくれて、出会えた事を奇跡だと喜んでくれる。


そうして一緒に居てくれてありがとうと感謝の言葉を贈られ、それは私の台詞だと笑みを返す。



二人で迎える2回目のこの日。




有り難い事に、他にも祝ってくれるという人達がいる。


確か約束は12時からだったはず。


場所はロックベル家。


アルやウィンリィ達がバースデイパーティーを開いてくれるらしい。








「エド、今何時?」





胸元から額を離して問いかければ、くしゃっと前髪を撫でられた。





「もうすぐ9時になるな」




「えっ、嘘?!」






予想より進んでいたらしい時計の針。


意識が完全に浮上した。


慌てて時計の方へと振り返り、自分でも時間を確認する。






「うわっ、ホントだ・・・起こしてくれれば良かったのに」






拗ねたようにそう言えば、額を軽く小突かれた。






「あんな寝顔見せられて、叩き起こせるわけねーだろ?」






苦笑混じりのその言葉に、思わず頬に熱が集まる。


そんな私の様子に笑みを浮かべ、エドは次にベッド脇の棚の引き出しを開けた。


しかし取り出す姿勢のまま静止し、私の方を振り返ってニッと笑みを浮べた。






「プレゼントいるか?」




「いる!」






エドからのプレゼントなら基本何でも嬉しい。


ベッドに座り直す私に、エドはニーッと笑みを深くしながら続ける。






「なら等価交換な!」




「えっ?」






エドの言葉に思わず首を傾げた。


私の誕生日、私への誕生日プレゼントで、どうして等価交換?


そんな疑問が浮かび上がってくる私に、エドは可笑しそうに笑い声を上げた。






「とりあえず頷いとけって」




「いやいや、エドワードさん?

等価交換って、私何も準備なんかしてないよ?」




「いーから!プレゼント、いるんだろ?」




「・・・・・・・・・・・うん」






未だ釈然とはしないけれど、エドの様子だとどうやら頷く以外に道は無さそうだ。


私が小さく頷くと、エドは満足げな笑みを浮かべて引き出しから何かを取り出した。



そして・・・






「ほらっ」






差し出されたものに、思わず目を見開く。


驚き過ぎて声が出てこない・・・


そんな私の左手を取って、エドは続けて口を開く。






「等価交換。これやる代わりに、・・・・・・・・お前は、俺のな」






真っ直ぐと見つめられて言われた言葉に、目に涙が浮かんできた。


エドはそんな私の様子に苦笑する。






「返事しねーと、勝手に填めっぞ?・・・・・・いいのか?」






後半は真剣みを帯びた声。


嫌なわけが無い。


けれど色々な感情が溢れ過ぎて声にならない。



だから私は何度も頷いた。


その衝撃で浮かんでいた涙が零れ落ちる。


そして私の耳に、どこか安堵するような吐息が聞こえた。




左手の薬指。


そこにゆっくりと通される指輪を、涙で前を滲ませたまま見つめる。


ピッタリと填まった指輪を見て、また新しく涙がこぼれる。







「ありがと・・・」






震える声で小さく呟けば、腕を引かれて抱きしめられた。


先程より確かに早く刻む鼓動。


それが今は何よりも愛しい・・・







「大好き」






そう呟いた唇は、ゆっくりと塞がれた。























<後書きという名の言い訳・・・>



marin様へ日頃のカキコ等の感謝の気持ちと、遅ればせながらのお誕生日プレゼントです(“▽”*)


エド夢で誕生日ネタ、とのリクで書かせて頂いたんですが・・・

本当に申し訳ありません_| ̄|○ il||l


気づけば誕生日そんなに関係ないんじゃない?って感じですね・・・

返品&苦情は365日24時間体勢で受け付けておりますので、遠慮なく仰って下さい(;゜∇゜)


でも本当に感謝の気持ちだけはもういいってぐらい込めさせて頂きました(>_<)



えっと、これからもこんなサイトと情けない管理人ですが、ヨロシクお願い致します!!!



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