大切で大事な・・・


大切な物をいくつも手に入れては失って・・・・・


大事にしようと心に誓っては壊していって・・・・・


そして・・・・・・・・・


















「な〜にやってるの?」




後ろからかけられた声に、俺は額の汗を拭いながら振り返る。


そこには小首を傾げてこちらへと視線を向けている マイ の姿。


確か先ほどまで荷物の整理をするとか言って部屋に閉じこもっていたが、この様子だと既に終えたのだろう。



俺は動きを再開させてから マイ の質問に答える。







「見りゃ分かるだろ。組み手の練習」



「一人で?」



「・・・・・・・・・」







仕方がねぇーだろ、アルは出かけちまったんだから!


内心そう叫びつつも、どう考えても口で マイ に勝てるわけがない・・・


俺は マイ の問いには答えずに黙々と組み手の練習を続ける。


練習と言っても相手がいないのだから型を取るくらいしかできないが・・・







そんな俺の様子を、 マイ は宿のすぐ傍にある木陰の下から見物することにしたのだろう。


部屋に帰るでもなく、木の幹に背を預けてこちらへと視線を向けている。


俺もそんな マイ に何を言うでもなく、ただ暑い日差しを感じながら組み手に集中した。















どれくらい続けていただろうか?


さすがに照りつける太陽の位置が高くなるのと比例して、気温が上がってきた。


そろそろ切り上げるかと木陰へと足を進めれば、 マイ が「お疲れ様」と微笑みながらタオルを差し出してきた。









「サンキュ」





有り難くタオルを受け取って、汗を拭いつつ木の根元に腰を下ろす。


するとちょうど風が吹いてきて熱くなった体を撫でていき、その気持ちよさに思わず大きく息をつく。


やはりたまにはこうして体を動かしておかないとダメなようだ。



そんな俺の様子を横目で見ていたのか、 マイ が首を傾げた。







「エドはさー、そんなに強くなりたいの?」




「はぁ?」






マイ の突然の言葉に、今度は俺が首を傾げる。





「だって、そんなに組み手練習してさ〜。

・・・・・しかも可愛い彼女一人にして!」




「それはおまえが先に部屋に閉じこもって荷物整理し始めたからだろーが!」






そう言い返しつつ頭を軽く小突けば、返ってくるのは楽しそうな笑い声。


その上「私はいいんだもーん」とか言いやがる。


そんな マイ に俺も自然と笑みが浮かんでくる。







そうやって一頻り笑いあって・・・・








「で、結局エドはどれくらい強くなりたいの?」





マイ がまた話を戻す。





「まだ引っ張るか・・・・・・なんだよ、弱い方がいいって言うのか?」





「ううん。そりゃ弱いより強い方が怪我し難いからいいと思うよ?

ただ純粋にエドはどれくらい強くなりたいのかな〜って思っただけ!」





「・・・・・・いいだろ、別にそんなの」




マイ の言葉に視線を逸らしてタオルで口元を隠せば、肩をガシッと掴まれて揺さぶられる。









「ねぇねぇねぇ!それくらいいじゃない教えてよ!やっぱりイズミ先生くらい?」




「バッ!あんなの無理に決まってるだろーが!」




「じゃーどれくらいよ!」







どうやらこの様子だと、本当に俺が答えるまで諦めるつもりはないらしい。


仕方なく体を マイ へと向けて視線を合わせる。






「俺は・・・・・」




「うん」





期待に満ちた瞳。


たくっ、んな目で他の男見んなよ?


俺は小さく溜め息をついてから口を開く。













「俺は、おまえが守れるくらい強けりゃれそでいいんだよ!」




「っ・・・」







訪れた沈黙は、まぁ予想していたので軽く流す。


その間にも青い空に浮かんだ太陽は燦々と地上を照らしているし、爽やかな風はまだ遠い秋をつれて来る気配も無い。


暫くしてチラッと視線を マイ へ向けると、未だに少しだけ顔を赤くして口を開く。












「エド・・・・さっきのはちょっと反則だよ?」




「知るかよそんなの」



「私、激しく時めいたちゃったよ!」






そう言ってフワリと笑う マイ の笑顔に、やはり自然とつられて笑みが浮かぶ。
















大切な物をいくつも手に入れては失って・・・・・


大事にしようと心に誓っては壊していって・・・・・






そして・・・・・・・・・それを何度も繰り返して、やっと俺はおまえを手に入れたんだ


























<後書きという名の言い訳・・・>



え〜っと、今回はメールでの暑中見舞いの素敵なエドの絵を始めとして、普段から投稿小説やBBSなどで盛大にお世話になっているもやしまめさんに感謝の気持ちを込めて!!!


・・・・・・・・はい!これでももやしまめさんに対する感謝の気持ちはいっぱい詰めましたよ!!!


えぇ、気持ちだけいっぱいでお礼の品がこんな駄文で、完成度が比例してこないのはいつもの事です!


その辺はもう・・・・・・・・・察してください(遠い目)



いやいやでもでも!本当に感謝だけはいっぱいしております!!!


これからもこんな管理人とサイトですがどうぞヨロシクお願いしますね、もやしまめさん!!!


そしてこんな駄文でもよければどうぞ貰ってやって下さい♪


もう煮るなり焼くなり好きにしちゃって下さい!!!



ではでは、まだまだ暑い日が続くようですが体調等気をつけてお過ごし下さいませ!



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