岐路に立つ
賢明とまでは言わないけれど、馬鹿ではないと思っていた。
自分の事は自分で出来るし、善悪の判断だって出来る。
人を見る目もそこそこあるし、風当たりが悪くならない振る舞いだって出来る。
これでも、今まで結構要領良く生きてこれた。
けれど・・・・・
「 どうする? 」
薄暗い部屋の中・・・
彼は静かに問いかけてくる。
「・・・・・・」
答えられない・・・・
こんなに近くにいるのに、彼の表情もよく分からない。
でも、口端だけは実に楽しそうに・・・・
「 どうする? 」
重ねて問われ、眉間に皺を寄せる。
「 ・・・・・私に決めろって言うの? 」
なんて残酷な人なんだろう・・・・・
今までは、人の意見なんて聞きもせずに好き勝手やっていたくせに
こんな・・・・こんな場面になって
「 なんで・・・・今さら・・・・・・ 」
彼の手が頬を撫でるように滑る。
その感覚に、背筋が冷たくなるような・・・・逆に熱くなるような変な感覚に捕われる。
「 どうする?どうしたい? 」
私の答えを待っているようで、待っていない。
否、私に選択肢があるようでないんだ。
彼は、それが分かっていて問いかける・・・
「 酷い人ね・・・・ 」
本当に、本当に酷い人・・・・
戻れないところまで連れて来て、そこで最終的な判断は私にさせる。
後で、言い訳も何も出来なくさせるために・・・・
自分で決めたんだ、そうだろ?
そう言われれば、頷くしかなくすために・・・・・
「 ・・・・・・酷い男 」
そう呟けば、彼は微かに笑った。
「 俺が酷い男なら・・・・・おまえは、ズルイ女だな 」
・・・・・・・・・そうね
彼の言葉に、私も思わず微笑む。
私はいつも逃げ道を準備する。
後から、言い訳や相手を攻め立てることが出来るように・・・・
私が望んだわけではない、しかたがなかったのよ
そう言って、責任を全て彼に押し付けるために・・・・
「 ・・・・・・ズルイ女 」
彼が耳元で囁くように言う。
もう、それを跳ね除ける気になんてならなかった・・・・
始めから、手遅れだったんだ・・・・・
「 どうしたい? 」
見計らったようなタイミングで再び投げかけられた問い。
答えなんて、始めから決まっている。
「 」
薄暗い部屋の中、彼が確かに楽しそうに笑った・・・・・
<後書きという名の言い訳>
相互記念として「人生観」の厚狭拿 紅様にお贈り致します!!!
紅様の書かれる素敵な詩とは比べ物にならないような出来ですが・・・
それでも宜しければもう煮るなり焼くなり好きにして下さい!!!
もちろん年中無休24時間返品可能ですので・・・
何はともあれ、本当に相互ありがとうございます!!!
こんな人間が運営しているサイトですがヨロシクお願い致します♪
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