受験勉強+二人っきりの勉強会=

お相手はハガレンのエド。
受験生の方々に贈る応援&お疲れ様夢です!
いや・・・・・こんな物でも気持ちだけはいっぱい込めたんですよ?!





あぁ、もうダメだ・・・




そう言って頭を抱えていたのは約二ヶ月前。


そして




なんだよ、んな追い詰められたような顔して




そう声をかけてきてくれたのはあなただった。

















「だから、この公式を使ってだなぁ〜・・・」



そこで言葉が途切れ、ノートの上をペンがスラスラと走る。






「ん〜・・・あぁ、そうか!

そう言えばそんな解き方習ったねぇー」



微かに残っていた記憶と、ノート上の数式が一致した。


思わず感心して両手を合わせて口を開くと、あなたは呆れたような顔をしてペンを止める。





「あのな〜・・・『 習ったねぇー 』じゃねぇ〜だろーが!

この辺基本がちゃんと出来てねぇ〜とヤバイぞ?」




ヤバイ


その言葉がグサッと胸に刺さって、思わず机に倒れこむ。






「あぁぁぁぁ、その言葉ヤメテーーー。

ほんともう私いっぱいいっぱいなんだからーーー」



頭を抱えて首を振れば、あなたは溜め息をついてノートに新しい数式を書き始める。






「何がいっぱいいっぱいだよ。

マイ にはまだ詰め込まなきゃなんねー事が山ほどあるぞ?」




「うぅぅぅ・・・頑張りますよー。

エドワード様の貴重なお時間を頂いてるんだもんねー。

無駄だったなんて事にならないように頑張らせて頂きますよー」



少々膨れながら言ってみたが、本気でそう思ってる。


なんたって、こうして私の勉強に付き合ってくれているエド本人も私と同じ受験生なのだから・・・

















エドと毎日のように勉強するようになったのは、今から約2ヶ月ほど前のこと。


家では誘惑があり過ぎて集中出来ないと、図書館で勉強し始めた頃。


他の教科はそれほどでもないのに、数学だけはどうしても苦手で途方にくれていた。






「あぁ、もうダメだ・・・」




試験までの残りの日数を確認して思わず頭を抱えた。


目の前のノート、そして何が書いてあるかさっぱりの参考書を見ていたら泣きたくなってくる。


こんな調子じゃヤバイ・・・・


マジでヤバイ・・・


せっかく、彼と同じ高校を受験するというのに・・・






(って、そんな邪な考えがあるからダメなんじゃない!

あぁぁ、でもいくら受験生って言っても女だものしかたないじゃない!!!

こうちょっとは夢みたってバチあたらないでしょ?!

つーかそれくらいでバチが当たるならなんて心の狭い神様だよ!)





今思い出せばかなりパニックになってたんだと思う。


でもそんな私に・・・・・・・・彼は、エドワード・エルリックは声をかけてきてくれた。






「なんだよ、んな追い詰められたような顔して」




ビクッと本気で驚いて反応してしまった。


近くに人がいるだなんて気付かなかったし、ましてやそれが私の密かな想い人だったエドだから反応してもしかたないじゃない。


私の大袈裟なまでも反応に、エドの方も驚いたらしい。


だがすぐに苦笑するもんだから、私は止まっていた頭をフル回転させて口を開く。






「エッエド、なんでこんな所にいるの?!」




・・・・・これでも、精一杯頭をフル回転させた結果出てきた言葉なんです。


もう本当にいっぱいいっぱいなの私は!






「ちょっと気分転換にな。

おまえこそどうしたんだよ?

端から見てすっげー暗い顔してたぞ?」










「 数学がもうボロボロで、エドと同じ高校に行けそうになくて泣きたくなったの。 」




「・・・・・」






言えるわけがない。


私が黙っていると、机の上に置いたままだったノートにエドが視線を移した。


そして大体の状況は察したのか、苦笑が返ってくる。






「何だよ、数学苦手なのか?」




「・・・・・・・・・・・・・」





今度は答えたくなかった。


いや、事実だけど認めたくないと言うか何と言うか・・・・・






無言を肯定と取ったのか、エドが苦笑しつつも私の隣の席までやってきた。


そしてそのままペンを持ってノートに何か書き込んでいくもんだから、ビックリして当然でしょ?!





「なっ何してんのエド?!」




「あーーー?数学苦手なんだろ?

・・・・・教えてやるよ。おらっ、これ解いてみろ」




そう言ってペンを差し出される。


ノートに目を写すと、参考書とはまた違った問題が書かれていた。





・・・・・・・・・・正直分かりません


てゆーか・・・






「いっいいよ!エドだって自分の勉強しなきゃいけないでしょ?」



「俺こう見えても学年トップだぜ?

おまえに数学教える余裕くらいあるっつーの」



「でっでも・・・」



「それとも何か?俺じゃ役不足か?」



「そっそんな事はない!」



「じゃー決まりだな。ほらっ、まずはこれから」





・・・・・・・エドって意外と世話焼きなのね。


頑固なのは知ってたけど・・・・・


心の中で溜め息を付きつつも、ペンを受け取ってノートへと目を移す。





・・・・・・・・・だから何度見たって分からないものは分からないって!




(でも・・・初っ端から「 分かりません 」だなんて情けなくない?!

あぁぁ、やっぱり教えてもらわない方が私の面子のためじゃ・・・・)




「この式はな、こうしてまず展開させてから解くんだ。

そうすりゃ、ほら、見慣れた形になるだろ?後はこれを」



「あっ!そこからは分かる!!」



私は急いでノートと向き合ってペンを走らせる。


ここからなら分かる。


答えを出すと、横からエドが「正解」と笑い、また新たな問題を書き始める。




私はそんなエドの様子を数秒見ていたが、すぐにエドが書いてくれた先程の途中式に目を向ける。



なんて分かりやすい・・・・・



これはもう、合格のためには恥だとか何だとか言ってられないかもしれない・・・・






そうして、私はそれからエドに数学を教えてもらうようになった。


















「できたーーーー!」



ペンを放り出して、う〜んと背伸びをする。


前までは何が書いてあるかさっぱりだった参考書も大半は埋めたし、エドが出してくる問題にもそれほど戸惑うことなく解けるようになった。


あぁ、あんなに苦手だった数学だとは思えない・・・






「ん、全部できてるな。じゃあ今日はこのぐらいにしとくか」



横でエドの採点が終わり、閉じられたノートにホッと息をつく。


手提げ鞄に荷物を詰め込みながら、ふと携帯が示す日付が目に入った。


数秒自分の中で葛藤した後、エドに視線を向けて口を開く。






「ねぇ、エド?試験まで後2週間切ったんだし、そろそろ自分の勉強に集中した方がいいんじゃない?

わっ私なら後は1人でも平気だからさ。」




私のその言葉に、ペンを片付けていたエドが顔を上げる。


ほんとエドのおかげで数学も目標点まで取れるようになった。


本音を言うなら、このままエドに教えてもらった方が勉強も捗るだろう。


そして何より、エドと一緒にいたいと思う。




だが、それと同じくらいこれ以上エドに迷惑をかけたくないとも思っている。


大事な時期にこれだけ私のために時間を割いてくれたんだ・・・・


それだけでもう、充分だよ・・・・






「あっ後はさ、自分なりに参考書やってみるから。

エドも毎日私なんかに教えるの大変で」



「却下」



「はぁ?」




突然私の言葉を遮るように発せられたエドの言葉。


だが、頭が理解しきれずに間抜けな声を出してしまった。


エドはそんな私の様子なんて気にせずに、片付けを再開させる。






「俺はな、自分の意思でおまえに教えてるんだ。

別に迷惑だとも、大変だとも思ってねぇよ」



「・・・・・・・」




私はなんて答えればいいか分からなかった。


言葉に迷っているうちに、エドは片付けを終えると鞄を肩にかけて椅子を元通りに戻す。





「おらっ、とっとと帰るぞ」



そのまま出口に向かって歩き出すものだから、私も慌てて荷物を手にする。


だが、どうしても・・・どうしてもこれだけは気になって・・・・






「ねぇ!何でそこまでしてくれるの?」



少々図書館には大き過ぎる声でエドの背へと問いかけた。


エドは私の問いに歩みを止めると、前方に視線を向けたまま口を開く。






「試験が終わるまでの宿題。・・・・・自分で考えろ」




「えぇっ?!」





予想だにしていなかった答えに、思わず不満の声を漏らす。


そんな、エドの考えなんて私に分かるわけないじゃない!


私がそう考えている事が雰囲気で伝わったのか、エドが苦笑混じりにこちらを振り返った。






「・・・・どうしても分からねぇーなら、試験が終わった後に答え・・・・聞かせてやるよ」





最後の言葉は、どこか真剣みを帯びていて・・・・


ちょっとは期待してもいいのかもしれないと思った。


再び歩みを進めるエドの背に急いで追いついて、私は思いっきり笑顔を浮かべる。






「エド!私絶対に合格するから!」



「おうっ」







返ってきた笑顔が、とても嬉しかった。


鞄を持つ手に自然と力が入り・・・




「 頑張ろう 」




・・・・・・・改めてそう思った。




















<後書きと言う名の言い訳・・・>


ん〜いちおう私から受験生の方々への応援&お疲れ様の気持ちを込めました・・・

私なんかにも「合格しました!」等のご報告を下さり、自分の事のように嬉しくなってつい書いてしまった(ついっておい!)

でも内容はあれですね、そんなに受験とは関係がなかったような気も・・・

考えて見れば、私高校卒業後は仕事始めちゃったわけですからそこまで「受験」とか思い入れが・・・(おいおい)

中学の時はもちろん勉強しましたけど、ヤバ過ぎて記憶が飛び飛びなんですよね〜(えっ?!)

いや、本当に洒落にならないくらい中学の時は成績が危なかった・・・・

あれでよく受かったもんだと今でも不思議です!


まぁ、そんな管理人の経験により書かれたものなのでほんと内容が軽いものに・・・・

でも、受験生の方々への応援やお疲れ様の気持ちはいっぱい込めたつもりです!(えぇ、あくまでもつもりです・・・)

少しでも気分転換などになればいいんですけどねぇ〜(遠い目・・・)



ん〜以下は私から試験が終わった、又は結果が出た受験生の皆様へ・・・

読まずに帰って下さってももちろんいいですし、その方が気分を害さなくていいかもしれません(えっ?)

まぁ、つまり読みたい方だけ読んでやって下さい♪















受験生の皆様、お疲れ様でした!

大きな波を乗り切ったって感じですかね〜



見事希望の進路に受かられた方々、本当におめでとうございます!!!

今はさぞかし開放感に浸っていることでしょう(笑)

でもそれに浸かり過ぎる事無く、次の準備をする事も大切ですよ!

気を抜き過ぎると大変な事になるのが人生なんですから・・・(←経験者)

まぁ、でも頑張った分羽を伸ばす事も大事ですよね♪

今は長く辛い時期を頑張った自分を思う存分褒めてあげて下さい!

何はともあれ、本当におめでとうございます!!!!!



そして次に、残念ながら希望の進路に叶わなかった方々・・・

今はショックや悲しみが大きいと思います

でもハッキリ言って人生長いのはこれからです!

いや、冗談とかではなく本当に!!

今回味わった挫折感等をバネにして、しっかり成長する事が大切ですよ!

これからの人生、きっと楽しい事もあれば今回のような挫折も沢山あると思います

でも辛い事を乗り越えて強くなれるのが人間です!

いろいろな経験を積んでそれを自分の自信にしていって下さい

今はまだ無理だとしても、後から振り返るときっとそう思える時がくるはずです

小さな事から少しずつマイナスをプラスに変え、いつかは自分の大きな力にして下さい

転んで泣くだけではなくそこから何かを掴み取れるなら、それは充分誇れる事だと私は思います

悲観せずに、気持ちを切り替えて次の新しい生活を頑張って下さい!

何はともあれ、本当にお疲れ様でした!!!!!







何か偉そうな事を言ってすみません!

でも、受験生の皆様本当にお疲れ様でした!!!

これからも頑張って下さい!

陰ながら、私も応援しております♪








≪ 受験終了+二人の関係= ≫

















試験もやっとの事で終えた。


ずっと頑張っていた分、清清しい開放感を感じる。


その反面、急に手に入った多大な自由な時間をどうするか持て余してもいた・・・・





私の携帯が鳴ったのは、試験が終わって3日ほどした、そんな日。















「答え分かったか?」



二人で勉強していた図書館の裏にある少し開けた場所。


気分転換にたまに来ていたが、以外と他に人は見たことは無い。


普通の人は、こんな所があること自体気付かないのかもしれない。


まぁ、ようなそんな人気のない所で待ち合わせてのお話だなんて大体見当がついた。


いくら私でも。





だが、こうまで直球で話を切り出されるとは思ってもいなくて、数秒言葉に詰まってしまった。


それでも何とか頭を整理して答えを口にする。






「・・・あ〜分かったかどうかと聞かれたら・・・・・・分からない」



「・・・・まったくか?」



エドが私に疑わしそうな視線を向けた。


私はそんな視線に耐え切れず、微かに目を逸らしながらモゴモゴと少々口篭りながら答える。





「あっ、いや・・・・願望と言うか、こうだといいな〜なんていう都合のいい答えならある」



本当に・・・・本当に自分に都合のいい答えならある。


でも・・・・・それは・・・・・・





「へぇ、どんな?」



「うぇっ?!やっ、それは・・・・・・さっさすがに言えませんです、はい・・・」



エドの問いに、思わず変な声を上げてしまった。


だって・・・・・・・聞かれるとは思わないじゃない!


そして答えられるわけもない!



えぇ、私にも恥とか羞恥心とかちゃんとありますからね!






そんな私の心の中の様子に気付いているのかいないのか・・・


エドはまたしても疑問の声を口にする。






「何でだよ?」




何でってそりゃぁ・・・





「だ、だって・・・・・理由が分からないもん。」




私が願っている答えに導くには、大切なものが欠けている






「そうか?」



これで何度目になるか・・・


エドの繰り返される疑問の声にさすがにイラッとして声を大にして答える。






「そうだよ!・・・だって私、ドジだしどっか抜けてるし!」




「落ち着きないし、考えなしだし、数学苦手だし?」



「うっ・・・・」




数学苦手っていうのも関係あるの?


思わず怯む私だが、エドは軽く苦笑して言葉を続ける。




「でも、最後まで諦めないし、いっつも笑顔だし」



「えっ?」




思わず視線を向けると、真っ直ぐ視線が絡まった。


そして・・・・






「俺は好きだぜ?そういうところ」




「っ?!」




いきなりの言葉に・・・


でもずっとそうだといいなって思っていた答えに・・・・


言葉がなくなり、代わりに顔が熱くなる・・・・







「で、答え分かったか?」



ゆっくりとエドが近づいて来て、目の前で止まった。


あぁ、この様子・・・・


エドは私の気持ちなんて始めから分かってたんだな・・・






そう思うとちょっと悔しくなって、エドから視線を逸らす。





「・・・・・・・・・・エドの口からちゃんと聞きたい」




私のそんな半分拗ねたような言葉にも、返ってくるのは余裕のある笑み。






「・・・了ー解。答えはなぁ・・・」




続く言葉は無くて・・・


唇に今まで感じたことの無いような暖かさが降ってきた。


熱くなる頬に手を添えられ、間近で微笑まれる。


あまりに近くて目が逸らせなくて・・・・


なんかもう泣きたくなってきた。




そんな私の様子にエドは小さく苦笑して、耳元で・・・・・・・・・ずっと私の知りたかった答えを教えてくれた。














「  マイ の事、好きだからほっとけなかったんだよ 」




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