心の中心にある唯一つ確かなもの。

お相手はハガレンのエド。
2007年のバレンタイン夢です♪
それなのに全然甘い夢じゃないのは管理人がバレンタインと縁のない寂しい人間だからです・・・(遠い目)
・・・・深くツッコまないように!








偽り


虚言


偽言





そんなものが平然と散らばるこの世の中で、あなただけが私の・・・・・
















「エドワード先輩がどこにいるか知りませんか?!」



「エドワードなら確かさっき屋上に行くの見たぞ?」





「エドワード君、いったいどこに行っちゃったの?!」



「エドなら図書室行くって出て行ったぞ?」





「エルリック先輩、朝から姿が見えないんですけど・・・」



「あーあいつなら今日はボランティアの日だから学校中の掃除してるはずだ」







(いや、いくらなんでもその嘘は酷すぎる・・・・)



窓際の席で頬杖を付きながら、聞こえてくるクラスメイトの男子の嘘に溜め息をつく。


朝から続くこの光景に、いい加減情報提供を求めてくる女子に学習しろと言ってやりたい。


どうせ返ってくるのは嘘なのだから・・・・


ただ今このクラス、嘘が四方八方飛び回っております。


だからと言って、今日はエイプリルフールなどでは決して無い。




2月14日。


そう、恋する乙女には重要な日。


年に一度のバレンタインデーだ。





なのにどうして女子はチョコを抱えたまま学校中を彷徨い、男子は嘘をついているのか・・・・・


まぁ原因は1人の男子生徒にあるのだが・・・・




(まったく・・・・エドったら本当にモテるわね〜〜)




心の中で呟くのと同時に、自然と溜め息がもれた。








エドワード・エルリック。


この学校の3年生。


成績優秀で容姿も良し、その上性格も男女共に受けがいいもんだから文句の付け所がない。


同学年の女子からはもちろん、下級生からも絶大な人気がある。


そしてそんな彼が、いやそんな彼だからこそ今の現状を作り出せたのだ。






事の始まりは5日前。


バレンタインデーを控えた女子たちが、それとなくエドにチョコの好みなど探りをいれ始めた頃・・・・


去年学校に来るなりチョコ(正確にはチョコを持った女生徒の大群)の襲撃に遭い、なんとか教室に辿り着いた彼を待っていたのは机やロッカーに山積となった持ち帰れないほどの大量のチョコと男子クラスメイトの嫉妬の視線だった。


その事がトラウマになっているのか、エドは探りを入れに来た女子から視線を逸らしつつも咳払いを一つして口を開いた。





『わりぃけど・・・・・・今年は手渡しでしかチョコ受取らねぇ〜から』




そのエドの発言はその場にいた女子を固まらせるには充分で、石化から戻った者の口から翌日には学校中に広まっていた。


補足として、バレンタインデー当日はエドは学校には行くが教室には行かないという事、机やロッカーに置いた場合は男子クラスメイトの胃袋行きになる事が付け足された。



もちろんこれには女生徒の猛反発があったのだが「 好きな奴の居場所も見つけられねーのかよ 」との男子クラスメイトの言葉に半分意地になって皆承諾した。





そして何とも言えない雰囲気やら決意やらで満たされて迎えた当日。


つまり今日。


始めこそ簡単に見つかると思われていたエドだが、未だ誰からもチョコを渡したとの一報は入っていない。




そしてただ今、昼休み。


とうとう義理チョコをあげるから情報をよこせと男子クラスメイトの元を訪れる者が現れ始めた。


そんな女生徒に対して、チョコ欲しさに適当な答えを返す者、または面白半分で嘘情報を流す者まで現れ、ハッキリ言って収集が付かなくなっているのが現状だ。







(あのエドが、誰かに自分の居場所なんて教えていくはずがないのに・・・)





クラスの様子を見て、今日何度目になるか分からない溜め息が漏れた。


そしてそのまま時計へと目を移す。


昼休み終了まで後約10分・・・


自然と視線が時計から鞄の隙間から見える紙袋へと移る。







はぁ・・・・





本日最大の溜息が漏れた。
















「エドワード君、きっともう帰っちゃたのよ・・・」



「先輩のために、頑張って手作りしたのになぁ」



「エド、本当は今日来てなかったんじゃないの?!」






時間は経ち放課後・・・


とうとう誰からもエドを見つけた、チョコを渡した等の声はあがらなかった。


周りからは残念がる声、嘘情報を教えたものを責める声が聞こえてくる。


私はそんな中、鞄を持って立ち上がった。


心なしか足が軽い気がする。


そんな自分に軽い嫌悪感を感じつつも、向かう場所はきっと変わらない・・・・








思えば私がエドの事を好きになった場所はここかもしれない・・・


そう思いつつやっと見えてきた校舎横の倉庫を見て昔を思い出す。





体育の授業が終わった所で運悪く教師に捕まり、道具を倉庫に返しに来た。


その日私は軽い体調不良で見学してたからきっと使われたんだと思うけど、その偶然がなければ私はエドと今のような馬鹿話が出来るような仲になることは出来なかったかもしれない。





軽く昔を思い出しているうちに倉庫は目の前。


ドアに手を伸ばすことはせずに、倉庫から数歩離れたところから口を開く。





「いつまでそんな所にいるつもり?」



答えは返ってこなかった。


でも、私には彼がいる場所なんてここぐらいしか思いつかない。


だから、ここに彼がいないなら今日はこのまま帰る。


そんな気持ちで来たんだから・・・






「かくれんぼの時間は終わりよ。エドワード・エルリック」



「あ〜なんだ マイ か。・・・・・上がって来いよ」




倉庫の上からスッと顔を出して言われた言葉、こちらへと伸ばされた腕にほっとしたのが自分でも分かった。


赤くなったであろう顔を隠すように俯きながらも、伸ばされている腕へと手を伸ばす。


グッと力が込められて体が浮くのを感じた。


もう片方の腕を上へと掛けて、倉庫の壁を蹴りながら上へと登る。


運動神経にはけっこう自信があるんだから。





「よくここが分かったな」



ニッと笑ってそういうエドの言葉には答えずに、スッと視線と共に話を逸らす。






「あんた1人のせいで、今日一日学校中が大騒ぎだったわよ?」



「しかたね〜だろ〜?

こうでもしねぇーと、家中がチョコまみれになっちまうんだからよ」



溜息交じりに空を見上げるようにその場に寝転がる。


その姿に、チラッと視線を向けて同じように腰を下ろす。


まったく、溜息を付きたいのはこっちだっていうのに・・・・





「この贅沢者。

そんな言葉聞かれたらあんたクラスの男子の手によって張り付けにされるわよ」



呆れたようにそう言えば、エドがこちらへと目を向けた。


交わった視線は想像と違い真剣みを帯びていて、一瞬ビクッと体が震えた。


そして、続くエドの言葉にも・・・





「贅沢とかじゃねぇ〜よ。

・・・・・・・・・・・・・俺が欲しいチョコは一つしかねぇ〜んだから」





ズキッと心が音を立てたのが分かった。


でもそれを表情に出すのをつまらないプライドが邪魔をして、交わった視線を逸らす。




「へぇ・・・・・・・・それじゃーそのチョコはもう貰えたわけ?」



何でもないようなフリをしてそう問う。


本当は心中いろいろな気持ちが渦巻いているのに・・・・


エドは数秒の沈黙の後、また視線を空へと向けて答える。






「いいや。

今日学校来て俺見つけたの自体お前が1番だからな」




・・・・・エドのその言葉に喜んでしまった私は、今日一日中学校内を走り回っていた女子生徒達と変わらないんだと思った。


仕方ないじゃない・・・・


どんなに強がったって、どんなに関係ないようなフリをしたって・・・・


私は、このエドワード・エルリックという男のことがこれ以上ないほど好きなんだから・・・・




その事に少しの呆れを感じつつも、エドと同じように空へと目を移して口を開く。





「他の子が見つけられないのも当然よ。

こんな所にいたら普通見つからないって」









「でも・・・・・・おまえは来たじゃねぇ〜か」







一瞬、エドが何を言ったのか理解できなかった。


そして、理解してからもどう言葉を返せばいいか分からなかった。


だって私がここを見つけられたのは、ここがエドとまともに話をした始めての場所だったから。


私がエドを好きになるきっかけになった場所だったから。




そんな場所、忘れられるわけないじゃない・


そして・・・・・・・・・そんな事・・・・・本人に言えるわけないじゃない・・・・・







「・・・・・・・・」





「だろ?」







沈黙を続ける私の顔を覗き込むようにしてそう口を開くエドにカァッと顔が熱くなるのを感じた。


エドのこの勝ち誇ったような顔!


こいつ、私の気持ちに気づいてる?!


そんな考えが頭を過ぎり、同時に恥ずかしさと少しの悔しさが入り混じる。


それを誤魔化すように立ち上がると、可愛げの欠片もない言葉が口から出てくる。






「あ〜〜〜はいはい、そうですね!

ほんとエドワード様の言うとおりですよ!」



エドが私の言葉に苦笑しているのが分かった。


なんだか私だけがこんなにいっぱいいっぱいになっててムカついてくる。


鞄と一緒に持っていた紙袋を勢い良く掴むと、エドの方に突き出して口を開く。






「じゃあ、みっ見つけたんだから受け取りなさいよね!」





・・・・なんだこの勢いだけの展開は・・・・・・・・


すぐに我に返って自己嫌悪に陥る。


あぁ、時間を戻せることなら戻したい・・・


しかしそんな思考がグルグルと回る私の手から紙袋が離れていった。









「サンキュー」




「・・・・・」





その笑顔は反則じゃない?


顔の熱が上がって、思わず頬に手を当てる。


手は冷たいのに、それ以上に顔が熱い・・・・




あぁ、もうダメだ私・・・・






「んじゃ帰るか」



エドが「 よっ 」とか言いながら立ち上がる。


私はそんなエドの様子に、驚いて口を開く。






「えっ?何言ってんの?だってあんた・・・・」



言葉は途中で途切れた。


「 あんたが欲しいチョコ、まだ貰ってないんでしょ? 」なんて言えない・・・


途切れた私の言葉なんて気にしてない様子で、エドが鞄を持ったまま背伸びをした後答える。






「あ?まだここいんのか?

俺はもうここにいる意味なくなったんだけど」



「意味って・・・・だってあんたまだ・・・・・」







「これが、俺の欲しかったチョコだっつーの。

・・・・・意味分かったか?」



「っ?!」





嘘のように都合のいい展開。


そう言えば、私は今日一日エドがいない教室内でずっと嘘の情報に惑わされてる人たちを見てきたな・・・


でも・・・・・・・・・・















偽り


虚言


偽言





そんなものが平然と散らばるこの世の中で、あなただけが私の・・・・・




心の中心にある唯一つ確かなもの



- 71 -

[*前] | [次#]
ページ:


企画TOP
サイトTOP
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -