雪の降る日

お相手はハガレンのエド。
2006年クリスマス夢です♪
・・・あまりクリスマスと関係ないような気がするのは気のせいではないです(おいおい・・・)





「・・・・おいおい、なんで今日に限って」



そう言ってエドは思わず膝に手をつき体を曲げて重い溜息をついた。


しかしすぐにグッと手に力を入れバッと体を起こすと走り出した。


後ろでは「 雪により運転は見合わせております 」と言う駅員の声が響いていた。














『わりぃ、 マイ 。電車止まってて遅れる。

できるだけすぐ行くようにするけど、先行ってていいぞ!』




走っているのか、少しエドの声が聞き取りにくい。


私は軽く苦笑しつつ携帯電話を持ち直して答える。






「先って・・・デートなのに一人で映画見てたら意味無いじゃない。

ちゃんと待ってるよ。

だからそんな無理に急がなくてもいいよ。

コケたらそれこそ大変だよ」




私のその言葉にエドは一度「うっ」と言葉に詰まった後、短く息を吐いて「わりぃ。じゃあどっか店に入って待ってろよ」との言葉が返ってくる。


私は「じゃぁ・・・」と言いつつあたりを見渡して、目に入ったカフェの名を口にする。


するとエドは「了解」と短く答えて電話は終了。


私は鞄に戻す前に改めて携帯電話に目を落としてまた苦笑する。


そして今度こそカフェへと足を進めた。














「はぁっ・・・はぁっ・・・たくっ、なんでこんな日に限って・・・・」



マイ が言ったカフェの名を頭の中で数度繰り返した後、「了解」と短く返事をして携帯を切る。


そしてそのまま時間へと目を向ける。


本来の待ち合わせ時間の15分前。


駅から走り始めてそろそろ10分。


このままのスピードで行けば後15分〜20分もあればつくはず・・・


しかし マイ の事だからそろそろ待ち合わせ場所に着いてるんじゃないかと思って電話をしたが、やっぱりな・・・


急ぐなと言われたって焦るのは当たり前だ。






(くそっ、なんでよりにもよって今日なんだよ・・・)






軽く舌打ちを付いて、心持ちスピードを上げる。


もちろん雪解けに滑ってコケないように気をつけながら・・・















「ではご注文は以上でお揃いですね?ごゆっくりどうぞ」



そう言って少しだけ微笑んで下がるウエイトレスさんはマニュアル通りの動きなんだろうなと思う。


窓際の席に座って、外に視線を向けつつ注文したカフェオレに口をつけて思わず短く溜息。


木々には綺麗なイルミネーションが施されており、夜にはさぞかし綺麗なんだろうと思わせる。


そして腕を組んで歩くカップルが多く目につくのは、きっと今日がクリスマスイヴだから・・・


その様子を見るともなしに見ていると、少しずつだが雪が降り始めてきた。


心なしか外も暗くなったような気もするし、途端に不安になる。






(エド・・・大丈夫かな?)





たぶんエドの事だから、急がなくてもいいと言ってもきっと走っていると思う。


そういうところももちろん好きなのだけど、たまに不安にもなる。





まぁ・・・・







(エドはそんな不安も吹き飛ばしてくれるんだけどね・・・)




私は軽く微笑むと、思わず立ち上がって外へと手を振る。


雪の中、やっぱり走ってきているエドに向かって・・・
















「はぁっ・・・はぁっ・・・・わりぃ、 マイ 」



カフェの席に座って、注文を聞きに来るウエイトレスに「同じの」と短く答え椅子にドッと体重をかける。


呼吸を整えながら マイ に声をかけると「雪なんだから仕方ないよ」と笑うばかり・・・


その様子に思わず息を吐く。


何でも包み込むようなこの感覚。


嬉しいのと同時に、絶対にその笑顔を守らなければいけないという気持ちが湧き上がる。


それが負担になるどころか、愛しさに代わるのだからオレも相当重症だな・・・


軽く苦笑したところで、ウエイトレスがカフェオレを持ってくる。


それを一口なんで息を付いた後、チラッと時計に目を移してから口を開く。






「これ飲んだら映画見に行くか」



俺のその言葉に、何よりも、誰よりも嬉しい笑顔が返ってくる。
















「思ってたより良かったね、この映画」



映画館から出て、サクサクとした雪の感触を足元から感じつつそう口を開く。


約2時間の映画。


公開されてすぐ見に行った友達から「私はあんまり・・・」という感想を聞いていたので心配していたが、エドが寝なかった映画なんて久しぶりだ。


気に入ったのかと思ってエドの方に顔を向けたのだが、妙に表情が硬い・・・






「エド・・・?」



組んでいる腕に少しだけ力を入れつつ呼びかける。


エドが何か考え事をして思考の世界に入る事はよくある事だが、こんな表情をしているのは始めて見た。


少しだけ心配になって呼びかける私の声にハッとして、エドが慌ててこちらに視線を向ける。






「わっわりぃ、何か言ったか?」



その様子がどうにも気になったが、私はゆっくりと首を横に振って答える。




「ううん、何も・・・寒いね〜」



そう言って軽く手をこすり合わせて息を吐く。


すると、突然エドが立ち止まった。






「・・・・エド?」



組んでいた腕が自然と解ける。


どうしたんだろう・・・・


映画を見る前までは普通だったのに・・・・


今は何か変・・・・


表情は硬いし、まるで・・・・緊張しているみたい。



思わず不安から眉を寄せる。


すると、突然エドが私の手を掴んで歩き始める。







「エッエド?!」



答えは返ってこず、私達はそのまま近くの広場へと向かった。
















「どうしたの?・・・・私、何か怒らせるようなことした?」



上目遣いでそう聞いてくる マイ に、俺は自分で自分に腹が立った。


違う、こういう顔をさせるために今日デートに誘ったわけじゃない!


でも、いざ マイ に告げようと思うとやはり緊張するしいつものように話すことができなくなる。


昨日あれだけ頭の中でシュミレーションしたし、バシッと決めようと思っていたのに・・・




情けねぇ〜な・・・・




「・・・・・エド?」



不安そうに俺の名を呼ぶ マイ の目を真っ直ぐ見返す。


一瞬 マイ の肩がビクッと震えた。


あぁヤベェ・・・今すぐにでも抱きしめてぇ・・・・


しかしそこはグッと我慢して、小さく息を吐いて気持ちを落ち着かせると静かに口を開く。




「 マイ ・・・オレは マイ のことすっげぇー愛してる。

それはこれからも変わらない自信がある。

ずっと マイ と一緒にいたいし、ずっと マイ の笑顔を見ていたい。

そして守りたい・・・・・ マイ も同じ気持ちなら・・・・受け取ってくれねぇ〜か?」



そう言ってずっと隠し持っていた小さな箱を取り出して マイ の目の前で開く。


マイ の誕生日石が光る小さなリング・・・


本当なら待ち合わせもオレの方が早く来て、今日はしっかりと マイ をエスコートした後に出したかったのだが・・・・


まぁ、それは今更言ってもしかたがない。


今は目の前の マイ の返事に嫌でも集中する・・・・






どれくらい沈黙が続いただろうか?


たぶんほんの数秒だったと思う。


しかしオレには何時間にも感じられた。


マイ がゆっくりと口を開く・・・・・






「・・・・・・・なんか、プロポーズされてるみたい」





「いや、みたいじゃなくて、したんだよ・・・・」




思わずズルッと肩を落としたくなる。


確かにドラマのようにカッコ良く決めたわけではないが、まさか第一声が「 されてるみたい 」とは・・・・


心の中で泣きたくなっていると、急に マイ が顔を俯けた。







「 マイ ・・・?」



心配になって マイ の顔を覗き込みつつ呼びかける。


そしてその表情を見て思わず目を見開いた。





「なっ?!何で泣くんだよ!」



慌てて マイ の肩に手を置いて目線を同じ高さにする。


すると、小さな マイ の声が返ってくる。






「ちがっ・・・・だって、そんな・・・こんな事言われるなんて思ってなかったし・・・・」



いや、オレはかなり前から決めてたんだけどな・・・・


心の中で思わずそう呟く。





「わりぃ、 マイ 」



やっぱ急過ぎたかと思わず謝る。


すると マイ が首を横に振って続ける。





「違うの・・・嬉しい・・・・嬉しいの・・・・私もエドの事愛してるから」




そう言って マイ が涙を拭って笑顔を浮かべる。


あぁ・・・この笑顔・・・・・・・








「幸せにするから・・・・オレの全てをかけて」




そう言って マイ の左手の薬指に指輪をはめる。


頷く マイ をそのまま抱きしめて、今の感動にゆっくりと浸った。

















雪が全ての音を吸収しているみたいに、雑音が遠のいた。


一面真っ白な世界の中で、オレは改めて誓うんだ。




ずっと、ずっと大事にしようと・・・


ずっと、ずっと守り抜こうと・・・






愛する君はもう、腕の中にいるのだから・・・・



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