どこまでも続く空のように。

2007年のホワイトデー夢です♪
お相手はハガレンのエド。
バレンタイン夢と同じで全然甘い夢じゃないのは管理人がホワイトデーと(以下略)
・・・・頑張って生きてるんですよ!(おいおい・・・)





この腕の中の温もりが


この心の中の幸せが


いつまでも続けばいい






そう、例えばあの・・・
















「ねみぃ・・・」



出そうになった欠伸をなんとか噛み殺す。


だが襲ってきた眠気までは消すことは出来ず、仕方無しに立ち上がると軽く背伸びをする。


流れでそのまま首を左右に倒すとコキコキと音を立て、思わず眉を寄せる。


こんな所 マイ に見られたらぜってーバカにされる。


そんな考えが頭を過ぎり、眠気はおさまったがその後も軽く体を動かし続けた。


天気もよく、風もそこまで冷たくなくて俺にとっては丁度いい。







(・・・そういや、あの日も確かこんな感じだったな)






ある程度柔軟をしたところで、ふと昔の光景が頭を過ぎった。


思えば、あの時ここにいなかったら マイ とはただのクラスメイトで終わってたかもなぁ・・・


そう思うとなんだかおかしくて思わず苦笑する。


それと同時に、普段は信じていない神様ってのに感謝もしてみた。





















天気もよく、風もそこまで冷たくなくまさに絶好の昼寝日和。


先日の昼休み、騒がしい教室を抜け出して適当な場所を探していて見つけたこの絶好の場所。


校舎横のこの倉庫の上は、人も滅多に来ないし校舎の窓からは丁度横に植えられた木に遮られ見えないようになっている。


そう、まさにサボるのに打って付けの場所。


下がコンクリで寝るには少々固いが・・・・




まぁ・・・・・このぐらいは妥協しねぇ〜とな・・・・













ガタンッ




突然聞こえてきた音に、眠りの中にあった意識が浮上する。


一瞬自分がいる場所がどこか分からなかったが、いつも聞いているのとは微妙に聞こえ方が違うチャイムの音に自分が外にいるのだと分かった。


体を起こして辺りを見渡し、いつもより倍近く高い目線に驚いて目を見開いたがすぐに倉庫の上にいるのだと思い出した。






ガタッガタンッ




再び聞こえてきた音は自分の下。


つまり倉庫の中から聞こえるようだった。


ポケットに突っ込んだままだった携帯を開いて時間を確認すると、時間は丁度6時間目が終わった事を示していた。






(あぁ、そういや6時間目は隣のクラスと合同で体育だったか・・・)





そんな事をぼんやりと思い出しつつ、軽い好奇心で下を覗き込もうと体を動かす。






「「っ?!」」







・・・・・まさか下にいる奴と目が合うなんて思わねぇーだろうが!


チラッと見て、今日の授業体育が何だったのか当ててやろうって思っただけなんだからよ!


それがちょうど倉庫から出てこようとした奴が上を向いていたため目が合ってしまった。


・・・・・しかも男子じゃなくて女子じゃねぇ〜か






(そういや、今日は男子は体育館に集合だったな・・・)





どうも寝起きなためか頭の働きが悪い。


だがそんな頭でも下で固まっている女子の名前くらいは分かる。



マイ ・ セイリィ ・・・・



同じクラスだが、必要以上に話したことねぇ〜な。


そんな事を頭が自動的に整理していると、今まで微動だにしなかった セイリィ が数歩後ずさり壁に手をついた。





「ビックリしたー・・・」





大きく息を吐き出しながら力なくそう呟く セイリィ に、今更ながらに悪かったと思い口を開こうとした。


しかしその前に セイリィ がこちらを睨み見上げる。






「あっんたバッカじゃないの?!バッカじゃないの?!

そんな所で何やってんのよ!常識ないんじゃない?!

あーーーもーーービックリした!!

心臓止まるかと思った!

首だけ出さないでよもう!」




「・・・・・・・・・・ブッ、ハハハハハ」





あまりに急激に喋り出すもんだから、言われた内容に怒るよりも笑いが勝った。


さっきまで静かだったからそのギャップがきたんだろう。


あとあまりの必死さに・・・



マジでビビったんだなこりゃ〜



俺が笑ったことに恥ずかしかったのか、怒ったのか・・・・


セイリィ が微かに顔を赤く染めた。






「わっ笑い事じゃないわよ!

こっちは本当に心臓止まるかとっ!

・・・・・・・・・あぁもういいわよ」




俺の様子に言っても無駄だと悟ったのだろうか。


疲れ果てたような様子で諦めの溜め息をつく。


そんな セイリィ の様子に、悪いと思いながらも苦笑する。


すると無言でギッと睨まれて、今度こそ「 わりぃ、わりぃ 」と口にする。



そして未だに機嫌悪そうにこちらを見上げている セイリィ に向かって手を伸ばす。






「・・・何よその手は」




おぉこえぇ・・・


声に迫力を感じ取りつつも、俺は手を伸ばしたまま答える。






「マジで悪いと思ってんだよ。

いいもん見せてやるから上がって来いよ」




苦笑混じりの俺の言葉に、分かりやすいほどの疑いの眼差しが返ってくる。


だが俺が手を伸ばし続けていると、諦めたような溜め息をつかれた。


しかし俺の手は掴まれる事なく、 セイリィ は倉庫横の木の方へと足を向け鮮やかなまでの身のこなしで倉庫上へとやってきた。





「・・・・・おまえ運動部だっけ?」



思わず俺がそう問うと、汚れを軽く払い落としながら「 帰宅部 」と短い返事が返ってきた。


だが俺が暗に知りたかったものの答えにはならず、それが不服でジッと視線を向ける。


すると視線に気付いたのか、 セイリィ がチラッとこちらに視線を向けてきた。


そして俺の視線の意味に気付いたのか、短く息を吐いてから答える。






「私中学まではスッゴイ田舎にいたの。

木登りぐらいできるわよ」




「あぁ、なるほどね。」




今度は俺の疑問を解消する答えだった。


納得したように数度頷くと、 セイリィ は呆れたような視線を向けてきて口を開く。





「そんな事より何よ、見せたいものって?」



「あ〜おまえにとっちゃそれほど珍しくもねぇ〜かもなぁ・・・」





俺の言葉に セイリィ は首を傾げた。



(これじゃ詫びにならねぇ〜かもなぁ)



そんな考えが頭を過ぎり、思わずガシガシと頭を掻く。


だが上ってきてもらった手前、何も見せないっつーのも情けない。


短く息を吐くと、気を取り直して セイリィ の後ろを指差す。






「ここからだと丁度綺麗に夕日が見れんだよ。

まぁ、夕日っていうには少し早い時間だけどな。

海にさ、すっげーいい感じで映るんだ・・・・・って セイリィ には見慣れてるかもしれねぇ〜けどな。」




苦笑混じりにそう言って、倉庫からの景色から セイリィ へと目を向ける。


すると・・・
















「エーーーード!!!何ボケッと突っ立ってんの?」




いきなりの マイ の声に、昔を思い出していた意識を現実に戻す。


声の方を振り返ると、丁度 マイ があの時のように倉庫上へと上ってくる所だった。




「んだよ、言ったら手ぇ貸してやったのに」



「ボーっとしてる人間の力を貸してもらわなきゃ上れないわけじゃないもの」




制服についた土などを軽く払い落としながらの マイ の返答に、少々気を落とす。


付き合いだして一ヶ月になるが、こいつが素直に甘えるなんて滅多にねぇ〜な・・・





「で、何してたわけ?」



俺の様子になんてまったく気にした風もなく、 マイ が首を傾げながら口を開く。


だから「 なんでもねぇ〜よ 」と答えて溜め息を一つ・・・


少しは気に留めるかと思ったが、返ってきたのは「 ふ〜ん 」という気のない返事。


・・・・・本当にこいつ、俺の事が好きなんだろ〜な〜?


思わずそんな考えまで浮かんできてしまう。






「あっ、今は丁度いい時間帯だね」




マイ のその少し弾んだような声に、少々凹んでいた気持ちを払いのけて視線を向ける。


すると、目の前にはあの時より幾分赤みを増した空。


そしてそれを反射させる切り取られた海。


そして・・・・






「初めてエドにここからの景色見せてもらった時、本当に感動したよ。

私が前住んでた所、海なんてなかったから」





苦笑混じりのその言葉に続いて浮かぶ、嬉しそうな笑顔。


(あぁ・・・・あん時の笑顔だ)


あの時、 マイ には見慣れてるかもしれないと思い「 わざわざこんな物を見せるために上に呼んだの? 」なんて呆れた顔をされているかと思った。


だが、俺の目に映ったのはこの笑顔。




本当に、心の底から感動し嬉しそうな マイ の笑顔。


・・・・・・俺は、この笑顔に惹かれたのかもしれない






そんな事を考える自分に軽く苦笑して、未だ景色に目を向ける マイ の横で鞄の中を漁り始める。


そして今日のためにと入れていた物を取り出して、 マイ へと差し出す。





「・・・・・・・・・・・・何よそれ」



「分かってんだろ。

バレンタインのお返しっつーやつ。

今日、ホワイトデーだろ」




ニッと笑って答えれば、途端に マイ が顔を逸らす。


照れてる顔を見られたくないんだろーけど、隠しきれてないっつーの。





「・・・ありがと」



数秒して、小さな声が届く。


プレゼントを差し出せば、 マイ が少しの戸惑いの後手を伸ばす。


あと少しで届くという所で、もう片方の手でグッと腕を掴んでこちらへと引き寄せる。






「っ?!ちょっ!」




そのまま強く抱き締めれば抗議の言葉は消え、変わりに耳まで真っ赤になった マイ が固まる。


その様子に心の中で苦笑して・・・


それと同時に、普段は信じていない神様ってのにもう一度だけ感謝をしてみた。















この腕の中の温もりが


この心の中の幸せが


いつまでも続けばいい






そう、例えばあの・・・




どこまでも続く空のように



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