この夜をあなたと・・・

2007年のクリスマス夢です♪
甘く甘くを目指したつもりです!
・・・・・・はい、これでも目指したんです!!!





クリスマスに夢を見るほど幼くもないけれど


それでも、なぜかこの日を特別に感じる・・・・・



















「 今からそっち行くから 」








携帯越しに聞こえる声。


クリスマス、どうしてもと頼み込まれてバイトになってしまった事を謝られたのは2週間ほど前のこと。


あまりにも必死に謝るエドの姿に、私は苦笑を浮かべて許してしまった。




本当ならどこか出かけようかなんて話していたのだが、それはまぁまた次の機会でも構わない。




ただ単純にクリスマスに会えなくなってしまったのが残念だった。


そういうわけでクリスマスの夜。


出された課題をする気分にもなれず、午前中に借りてきたDVDを見ていたところで鳴った携帯に首を傾げた。





だがディスプレイを見て、すぐに電話に出る。


するとエドから店長の計らいでバイトが早く終わった、これから行くからと早口で捲くし立てられた・・・


そんなエドの様子に思わず苦笑しながらも「 気をつけてね 」とだけ答えた。

















通話を終えて、そのまま携帯の時計へと目を移す。


エドのバイト先からここまで来るのに約40分。


この時間だともうどこのケーキ屋も閉まっているだろう。






・・・でも、コンビニまでケーキを買いに行く時間くらいならある


軽くなる足を自覚しつつも、コートへと手を伸ばした。












コンビニから帰ると、すぐにキッチンへと向かう。


袋からパックに入った二つ入りのケーキを出し、冷蔵庫へとしまった。


クリスマスらしさなんてないただのケーキだが、まぁないよりマシだ。






他に適当に買ってきたお菓子や飲み物はテーブルの上へ置き、コートを脱いで時間を確認。


あと10分、15分もすればエドも着くだろう。


自然と笑みが浮かんできて、誰に見られたわけでもないが恥ずかしくなった。







(あぁ、ヤバイ・・・・相当参ってるな・・・・)







苦笑の中にも滲む嬉しさに、自分でも呆れるしかなかった。












部屋を適当に片付けて、DVDの続きを見るともなしに見ているとインターホンが鳴った。


すぐに玄関へと駆けつけてドアを開く。










ガチャ








「メリークリスマス!」




「っ!」








ドアを開けると、いきなり唇に何かが触れた。


顔に影が出来た時点で反射的に目を閉じてしまったが・・・


この感触は、キス・・・・・・・・・・・・・・・というような甘いものではなく、もっとフカフカしていて・・・












「・・・・・・・どうしたのこのクマちゃん」






目を開けると、そこには50cmほどの大きさのクマのヌイグルミ・・・


私はクマちゃんの後ろですっごくいい笑顔を浮かべているエドに問いかけた。








「どうしたのって・・・クリスマスプレゼントに決まってるだろーが!おらっ」




そう言われて、ズイッとクマちゃんが再び近づく。






「・・・・・ありがとう」




戸惑いつつもクマちゃんを受け取って、腕の中に収める。




これ・・・・エドが自分で買いに行ったのかな?


その前に、バイト先からこれ持ってきたの?


・・・しかも袋にも何もいれずに?







次々浮かんできそうになる疑問は、エドの「気に入っただろ?」の声に中断された。








「・・・・うん。可愛い」



エドのおかしいほどの機嫌の良さを不審に思いつつも、素直な感想を口にする。


それと同時に今の状況も思い出した。






「あっ、ごめん。コーヒーか何か入れようか?」



寒い中来てくれたエドを玄関先に立たせたままだったのを悪く思いつつ、ドアを開け切ってからキッチンへ熱いコーヒーでも入れようと向かう。


だがドアが閉まった音と同時にグッと腕を引かれて身動きが取れなくなった。






「ちょっ・・・エド?!冷たいでしょ!」




抱きしめられた状態で、熱くなる頬を自覚しながらもキッと睨みあげる。








「こいつにだけキスしといて俺にはナシか?」





ニッコリ笑顔のまま、未だ腕の中にいたクマちゃんを示された。


いや、キスってちょっと・・・






「さっきのはエドのせいでっ・・・」




でも反論の言葉が聞き入れては貰えずに、代わりに今度こそ暖かな口付けをされた。


ドアが閉まっているとはいえ、寒い玄関でいったい何をしているんだか・・・


リビングから微かに聞こえてくるDVDの音も、次第と耳から遠のいていった。




















クリスマスに夢を見るほど幼くもないけれど


それでも、なぜかこの日を特別に感じる・・・・・










クマちゃんの腕の中にある小さなリングの存在に気付いたのはそれから30分後・・・



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