泣きたい時程涙は出なくて、なんて陳腐な歌が頭を掠めたが、全く以ってその通りだった。発狂しそうな今でも不思議な程に瞳は乾く。ごろりと寝返りを打っても、ぶつかるものは何ひとつない、広いベッドの上で。

別に何かが悲しい訳じゃない。
ただ不安で、漠然と待ち構える未来が不安で、それを掬ってくれる誰かさんすらも今ここには居ないって、それだけ。
あれ、でもこれつまり悲しいって事なのかな、それすらも分からなくて笑った。頬は動いてなかったと思うけど。

ねえ、どうして君はここに居ないのかな。別に君が居なくても差し支え無いけど、君が居ないと上手く寝付けないんだよね。これって在る意味睡眠妨害だよ。あれ、でもこれつまり君が居ないと差し支えあるって事なのかな。笑えない。

意味の無い思考ばかりが溢れ出す。
もう、何でもいいから、早く眠りたい。
今一番求めているのは君なんかじゃなくて睡魔だよ。自惚れないでねって呟いた言葉は海みたいな色のシーツに沈んで消える。
ねえ、ずっと君の隣で眠りたかった。
偶然でも明日が来なければ


 
2011/01/31

back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -