【side美奈子】
あたしがみんなの前に広げたのは、いろんな動物の耳と尻尾!
まだみんなには言っちゃダメなんだけど、今度、写真集を出すことになって、それのコンセプトでアニマルのコスプレをしたの。
可愛かったからちょっと欲しくて、試しにお願いしたら、あっさりくれた。
たくさんあるし、どうせだからみんなにも配ろうと思って、夜天君にお願いして車で運んでもらった。
うさぎちゃんと亜美ちゃんがいるとは思ってなかったから、良かったぁ♪
実はみんなに似合いそうなコスチュームをもう考えてあるの♪
うさぎちゃんはベタだけどウサギ。
ちなみにピンクとシロと茶色があるのよ。
亜美ちゃんはネコ。
ルナとアルテミスと仲良いし☆
髪の色とかからロシアンブルーって感じ♪
レイちゃんはクロヒョウ。
なんかレイちゃんて女豹って感じがするのよね♪
まこちゃんはイヌ。
柴犬って可愛いわよねぇ♪
「おっ!なぁ、愛野これ譲ってくんねぇ?」
何やら発掘したらしい星野君の方をみると、その手には真っ白のウサギ耳と尻尾がのっていた。
やるわね星野君…
何も言わなくても、うさぎちゃんに何が似合うかよく分かってるじゃない…さすがね!
「おぉっ☆ねぇねぇ!これ亜美ちゃんに似合いそうだよ?」
ん?そ、それはっ!
まぎれもなく『ロシアンブルーの猫耳』!
「亜美ちゃんの髪にうまく溶け込みそうな色合いだねぇ」
そう言いながら、尻尾も探すうさぎちゃん。
文句なしだわ!
グッジョブよ!星野君!うさぎちゃん!
あなた達いいアニマルカップル(略してアップル)になれるわっ!
さて…と。
あたしとうさぎちゃんはくるっと亜美ちゃんの方に振り向く。
「っ!?な、なに?」
あらあら、怯えちゃって…亜美ちゃんたら☆
そんな小動物チックなところも、大気さんは可愛くてたまらないのねきっと♪
「はいっ☆亜美ちゃん!つけて?」
うさぎちゃんが笑顔で猫耳を亜美ちゃんに差し出す。
「…っ」
亜美ちゃんは絶対に猫耳をつける。
あれを差し出したのがあたしだったらきっとダメだったろうけど、なんてったってあたし達はうさぎちゃんに甘い。
「亜美ちゃぁ〜ん」
うさぎちゃんがすがるような目で亜美ちゃんに訴えかける。
「〜っ、わかったわ……ちょっとだけよ?」
ほら、ね?
亜美ちゃんは猫耳を受け取って、それをじっと見つめる。
仕方ない。
こうなったらこの愛野美奈子が一肌脱いでやろうじゃない!
あたしはゴソゴソと獣耳の山から、トラ耳を取り出す。
それを見たうさぎちゃんが、あたしの意図に気付いたようで、星野君からウサギ耳を略奪する。
あたし達は顔を見合わせこくりと頷くと、それを装着した。
獣耳は一見カチューシャタイプなんだけど、実は、片方ずつ外す事ができて、髪止めにもなるやつなの。
うさぎちゃんは片方ずつ外して、うまくおだんごにつけて、あたしはとりあえずカチューシャのままつける。
「「亜〜美ちゃん」」
戸惑ったまま猫耳を見つめている亜美ちゃんを呼ぶと、顔をあげてあたしとうさぎちゃんを交互に見つめる。
亜美ちゃんは恥ずかしそうにしながらも、おずおずと猫耳を頭につける。
やっぱりあたしの目に狂いはないわ!
うさぎちゃんも亜美ちゃんもかっわいい!
ほら、星野君なんてうさぎちゃんしか見えてないわ。
「愛野…」
「何?星野君」
「グッジョブ!」
そう言うと、うさぎちゃんの手をつかみ、目にも止まらぬ早さで消えた。
これはもう…フィーバーするわね。
「水野」
あら、戻ってきた。
「それ、すっげぇ似合ってるからさ。せめて大気が戻ってくるまではそのままでいろよ?
夜天、報告頼むな!んじゃ!」
そう言うと星野君は去っていった。
「えっ?」
亜美ちゃんが星野君の言葉に固まっている。
「亜美ちゃん」
「な、なに?美奈子ちゃん?」
「大気さんの驚くところ見たいでしょ!」
「えぇっ?」
「夜天君も見たいわよね!」
さっきからあたし達を黙って見ていた夜天君に聞くと、ちょっと考える素振りを見せる。
「そう…だね。大気の驚くところなんてなかなかお目にかかれないからね。
ちょっとは興味ある…かな」
さすが、あたしの夜天君!
「じゃあ亜美ちゃんが外さないように見張ってて!あ、亜美ちゃん後ろ向いて」
「えっ?」
「いいから、ほら!」
「う、うん」
くるっと背中を向けた亜美ちゃんのスカートをちょっとつまむと、セットの尻尾を取り付ける。
あら不思議!
どんな素材の服にでもくっつくのよ!
「これでよしっ!じゃあ、あたしは完全武装になってくるわ」
そう言い残すと、夜天君の部屋に行く。
さて、夜天君を悩殺するために美奈子頑張っちゃう☆
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